粗筋
ロサンゼルス、メラニースクエア。
インフェルノが新たに支配下に置こうとする場所の名である。
メラニースクウェアには、古くからマフィアが縄張りとしていた。
首領の名はトニー・ストーン。その名の通り頭は固いが、昔気質を重んじる人物だ。
メラニースクエアの住人を家族のように大切に思い、また実の家族も愛していた。
インフェルノは譲歩した条件をもとに交渉を重ねるが、トニーは頑として頷かない。
双方譲らず強硬策も覚悟した最終交渉を前にして、
クロウディアはファントムに出動要請を出す。
ファントムは偵察をぬかりなく遂行し、そして交渉日、配置につく。
やはりトニーは交渉に応じない。交渉は決裂、ホテルの一室は銃撃戦となる。
隣の建物から狙撃するアイン。精緻な狙撃で一室を制圧するインフェルノ。
だが、しかし首領トニーだけは死なない、いや殺されなかった。
家族の元へ駆けつけたトニーが見たもの、それは妻と息子の骸だった。
次回へ。
感想
クロウの主要キャラとしての濃度が一気に濃くなった、そんな5話でした。
彼女がどうしてツヴァイにあそこまで目をかけるのか、まだ判りませんがとにかく彼女はツヴァイが気になる上に応援的なことまでしちゃってくれてます。
マフィアの幹部として部下であるツヴァイに「あなたは奴隷じゃない」っていう立場をとるのは上司としてどうなんでしょうか。一般企業なら全然問題ない関係だと思いますが、マフィアともなると、今後の行動戦略になんらかの支障が生まれても仕方なさそうな気がします。そこまでしてツヴァイにご執心である真意が気になるところです。
で、その強烈なアプローチを受けたツヴァイ。彼の感情は週を追う毎に消えていってる、そんな演出が素晴らしいです。やっぱり暗殺者はこうでなくっちゃね。クロウの言葉になにを思ったか、でさえ表情では理解できませんでした。さらに母子を撃つシーン、ほとんどなんの躊躇いもなく(あったにせよ表情には出さず)、殺したときの目はビシィ!ときました。サイスにとって理想の暗殺者になりつつあるようです。でもサイスとクロウは対立している。いや一方的にサイスがクロウを意識しているだけかもしれませんが、クロウがツヴァイに施している処置は快く思わないでしょう。そこらへんの対立やツヴァイの葛藤なんかも今後あるかもしれません。
そしてアイン。前回はよく心情を喋りました。今回はだんまりでしたね。クロウに連れて行かれるツヴァイを見送るアイン、ツヴァイの帰りを待つ?アイン、デュークを眺めるツヴァイを見つめるアイン。今回はアインが何を考えているのかほとんど判らない、っていう演出が目立ちました。前回で現れた“怖れ”という感情はどう作用しているんでしょう。“脆さ”よりも“揺れ”を5話のアインには感じました。
5話は原作なしのオリジナルということでしたが、セリフのオンオフがうまいな〜と思いました。世界観や設定、雰囲気を壊し悪評が多いことが見受けられるオリジナル回でしたが、ファントム5話はなかなかの出来ではなかったでしょうか。
今更ながら訓練のシーンを入れたのはファントムエフェクトをやりたかっただけじゃないのか、と問い詰めたいですねw相当気に入っているようです、あの湯気。これまではツヴァイにしか出なかったファントムエフェクトですが、5話ではついにアインにも!やはり彼女も真下監督に認められしファントムだったのですな、安心安心。
そして前回に続きデートのような偵察。「5人前にすれ違った人の特徴は?」とかぶしつけに素気なく訊くあたり、やはりアインはドSだw私もアインに「正解よ」って誉められてみたいものです。
で、今回残念ながら(全然残念だと思っていないところが自分でも恐ろしい)ファントムの餌食になってしまったエバとデュークですが、彼女らだけが殺されたのはトニーをインフェルノに絶対服従させるためですかね。たぶんインフェルノとしてはトニーをインフェルノの指揮下でメラニースクエアを納めさせる気でしょう。
いや、でもトニーの気質なら反逆を考えるだろうか、それとももうこれ以上凄惨な事態を避けるべく無感情にインフェルノに服従するだろうか。このあたりは妄想でしかなんともいえませんが、今回の作戦はこれまでで最も“人情”が絡んできたものだと思うので考えざるを得ないです。トニーの絶望に同情する気持も少なからずありますが、それ以上にファントムのやることの恐ろしさに震えます。前回の次回予告ツヴァイの呟いた「他人の幸せを奪う」って台詞が完璧に生かされていたんじゃないかと。
次回もオリジナルストーリー。アインのドレス(シエルみたいな)が見られるようです。
楽しみですね!
他所で耳にしたところでは、今回のオリジナル性として「(主人公による)子供殺し」というのがあるのだそうで、そんなところも真下監督が原作の延長線上に「自分色に染めたファントム」を目指していることがうかがえます
何だか前回予告からこの展開を希望しておられた方がちらほらおられたような…小説や映画では必ずしも珍しくないと思うのですが、「アニメでこういうの見たかった!」という方は結構おられるような気もします。私もまあ小説や映画の類似作との対比で好奇心半分で「そういうのやる人いないのかなあ」という程度のことは思ってましたが(笑)まさか真下監督、本当にやるとは。これはいろいろな意味で冒険と思いましたが、各感想サイト様の反応は意外に悪くないですね。ツヴァイかわいそうという示唆が目立つような…私はどっちかというとインフェルノ自体が怖いと思いましたが…でも「全然残念だと思っていない」とはっきりおっしゃるのは珍しい気がしますね(笑)人によって見方が大きく違って(男性視聴者でもアインに人間らしく(いわゆる萌え可愛く)あってほしいという方とそうでない方とか)、そんなところもおもしろいし、作品に深みがあるからこそだと思います
それでは失礼します
>完成された展開と演出
私も本作にはこの“完成された”という表現がこれまでの真下監督作品以上にぴったりだと思います。それは原作があるからなのか、真下監督が集大成的熱意で取り組んでいるからなのか判りませんが、とにかく完成度が高い!今のところ期待を下回るストーリーがありません。ただ、まだ先は長いですね。ワクワクそわそわです。
>「自分色に染めたファントム」を目指していることがうかがえます
この演出についてはどしどし期待します!アニメだから出来ることを存分に映像に収めてほしいです。私はファントムOA終了後、最近出た廉価版原作をプレイしようと思っているので、そんな思いからも原作からの変化には期待しちゃいますね。
>まさか真下監督、本当にやるとは。
「子供殺し」は本当に冒険でしたね。私は前回次回予告をみたとき、父親が殺されるんだろうと思ってました。実際にAパート見終えた後も、どちらかといえば穏便派のクロウがツヴァイに子供殺しを命じるとは思っていなかったので、ツヴァイが屋敷外のベンチで待機しているときドキッとしたんですよね。アインがガンガン撃ちこむのに対し、母親をサイレンサー付の拳銃で静かに殺したツヴァイの行動には震えさえしました。
>でも「全然残念だと思っていない」とはっきりおっしゃるのは珍しい気がしますね(笑)
デュークのデザは非常に愛らしく、健気な感じでした。だからこそ至高の演出に繋がったなあ、と思いました。30分という短い間で父子間の情をしっかり描き、それを暗殺者によってぶち壊すというのは、どこにも救いようのない展開でしたね。私個人の嗜好で、こういった演出が好きなので、真下監督の冒険をしっかり受け止められたような気がします。
>人によって見方が大きく違って
私は本作にかなりの鬱感を期待して視聴してますね。ちなみに昨期一押しだったアニメが「キャシャーンSins」なのですが、これもかなり陰鬱な雰囲気でした。今期は視聴しているアニメで陰鬱な雰囲気を醸し出してくれる作品が「ファントム」くらいなので、そういった期待が強いのかな、と思っています。
コメントありがとうございました!