粗筋
六本木のホテルでのジョニー狩り騒動から一夜明けた。警察がホテルに向かったときには、既に一室はもぬけの殻だったそうだ。滝沢たちがどうやってあの一室から抜け出したか、それは白鳥の助力によるものだった。そのことを滝沢はノブレス携帯の履歴から知ることとなった。
「滝沢は悪人ではなさそうだ」これが東のエデンのメンバーが彼に下した結論である。しかし彼を取り巻く謎は多く、そのことへの不信感は拭えない。ちなみに失踪していたと思われた大杉は、研修と称した飲み会に強引に連れていかれていただけで、まったく人騒がせな奴だった。
彼だけが滝沢を知らない。厳密にいえば顔は見ているのだが、直接的な接触はない。平澤たちが滝沢と組むというのなら、もうこれまでのメンバーが一堂に会することはなくなるだろう、と大杉は滝沢を遠隔的に拒否する。彼の滝沢を嫌悪する気持ちは強く、ついには咲と一緒に学内を歩いている滝沢を携帯で撮影し、エデンの携帯検索システムで情報を集めるという行動までに発展した。
一方、滝沢はまだ自分のことを話せなかった、話さなかった。彼はエデン側に有利な条件で融資することを決め、その見返りとして携帯を直してほしいと以来する。朗はその携帯をモールで拾ったもので、自分の過去がデータとして入っているかもしれないというが、実はその携帯、かつてはbS、近藤のだったものだ。滝沢の過去は朗だけでなく、エデンのメンバーも興味のあることだった。しかしメンバー唯一のエンジニアであるみっちょんは直せないときっぱり。そこで平澤は咲の発言をきっかけに京都にいるエンジニアを紹介する。
名を板津(ぱんつ)というその男は、エデンの携帯検索システムの開発にも携わった者で、現在は京都鴨川沿いの古アパートに絶賛ひきこもり中の男であった。板津の性格はなかなか複雑らしい。唯我独尊、自分がもっとも世界で賢いと信じて疑わない彼は、世間コンピュータと呼ばれる世間の動きをすべて予測するコンピュータを完成させるために引き籠っているのではないか、これがエデンメンバーの大方の予想だった。
さっそく向かおうとする滝沢に、平澤はみっちょんと咲もついていかせる。女の子がいたほうが板津が心を開く可能性が高いらしい。また平澤には、みっちょんに滝沢の過去を調べさせる目的もあった。その頃、大杉の募った滝沢に関する情報は時間を追うごとに増えていた。その情報のほとんどは名前だったが、そのほとんどは“滝沢”ではなかった。偽名?ますます滝沢に対して不信感を募らせた大杉はモールへと向かった。
京都についた滝沢たちは早速板津のアパートへ向かった。しかし彼は不躾にみっちょんと咲に週刊誌と文芸誌を買ってこいと命令する。滝沢は一人その場に残った。どうやら板津はセレソンについて調べているらしい。それに気付いた滝沢はセレソンと2万人のニート失踪についての公表されていない情報で板津の興味を引き、さらに自らをセレソンであると告白する。その言葉を訊き板津は軋むドアをゆっくりと開くのだった。
次回へ。
感想
8話。はっきりいって今回は一番退屈な話だった。もう終盤だというのに、ここへきてこんなに展開のない話を入れてくるとは予想外だった。これまでのストーリーはほとんど朗近辺と朗の視点による独特なカリスマ性に包まれていただけに、エデンメンバーと大杉視点のストーリー展開は魅力に欠けた。
平澤の考えや行動なんて朗と比べてしまえば平凡だし、大杉なんてもっての外。ただの人間には興味ありません。平澤の発言はニートを騙っているような気がしてなんだか気に食わない。まあニートの定義ってのは微妙だからなんとも言えないし、兎に角しつこいほどニートという単語を繰り返すのは、きっと本作における問題定義の何らかの意図があるのだろうから面と向かって文句をいうわけじゃないんだけど・・・。まだ平澤の凄さみたいなものが出てきていないからこんな気分になるのかもしれない。なんとなく「お前口だけじゃん」って言いたくなるんだよね。
大杉は頑張り屋なのは判るけど、頑張る方向がいちいち可哀相な方向だ。大杉の行動が少しでも報われる日がくるのだろうか。今はピーピー騒いでる鶏レヴェルの扱いですが、彼の行動が少しでもストーリーを面白くしてくれればいいなあ。それにしても携帯検索システム怖すぎだろう。あれはもう便利の為とかの技術じゃない。実際に街の店なんかじゃそのうち運用されるサービスだろうけど、個人の情報まで晒されちゃたまらんよなあ。あれは悪用されて然りだ。大杉が朗を恋のライバルと看做すのは当然だとしても、このサービスを使って蹴落とそうとする方法が卑屈すぎると思った。まあそれは私の生きている社会に存在しないサービスだからこそ抱く感情なんだろうけどね。写真を撮った後、当然のように「検索してやるぜ」顔の大杉が果てしなく苛立たしい。でも大杉の視点から考えるとあのサービス役に立ってるんだよなあ。匿名掲示板に顔写真をアップロードして「これ誰か判るやつkwsk」って書きこんでるのと同じようなレヴェルでモラルがないこのサービスだけど、6話で平澤が言うには、咲が取り入れた魅力的な書き込みなるものがあるらしい。このあたりの詳細を明かしてくれないと、このサービスを利用している大杉も作り上げたエデンのメンバーも周りのことを考えられない小物にしか思えない。
そして今更登場、新キャラの板津。こいつもものすごく我の強いキャラだね。朗が唯一「自分がセレソンだ」と名乗ったということはなかなか魅力的なキャラのはずだ。ああいった一つのこと、自分の好きなことに形振り構わず熱中できるやつって面白いキャラクタになる可能性高いから期待しておこう。
カープファンなのか中大になにか関係があるのか・・・。
で、すっかり影の薄くなった咲。でも着々と朗への不信感は募らせているようで。朗とキスをするところまでは気持的に急速に親しくなった彼女だけど、今は不信感をもとに距離を置いて観察&調査している感じ。朗にも嘘ついちゃったし、それでいてそれをエデンのみんなには話せない咲は今、誰とも距離を置いて独走中ってとこですね。板津と久々の再会シーンは咲の性格を如実に表してて面白かった。「久しぶりだけど、元気?」なんという社交辞令w咲は表面上とりあえず和を乱すようなことはしない、けれど実は頭の中ではしっかり優先順位や対応がソートされてて、その落差はなかなか大きい。馬鹿な大杉はそういうところに気付かないだろう。それが振り向かれない理由なわけだけど。言葉にすると猫を被っているわけで、こんなの誰でもやってることなんだけど、その塩梅が設定として咲に巧く表現されてていいなあと思う。
朗は未だのろりくらり掴みどころがないところがイイ!でも今回は特に言及するとこなしかな。
あ、それとストーリーとはまったく関係ないような立ち位置のみっちょん。声がくすぐったいぜ!斎藤彩夏さんってこち亀の擬宝珠檸檬だったのかー!
若手の集まる東のエデン声優陣の中では年齢の割に一番芸歴が長いんだね。みんな声当て巧いからストレスなく見られるのも本作のポイントです。さーてもうあと3話だ。どうなるどうなる今後の行方。
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