粗筋
「無謀にもカークウッドを守ろうとした小さな勇気に報いるべきだ」
ネルヴァルは攻撃の芽を潰すため、月政府のもとへハイパージャンプし馳せ参ずる。「人間の欲とは浅ましいものだな。裁きを受けよ」ネルヴァルコロニーから放たれる煌びやかな氷は、月をまるごと、あっという間に覆った。
一方、いつきたちは秋葉の入った箱を回収し、動力系の故障したシップを乗り捨て、一度カークウッド内へ逃げこんだ。「嘘だよね、いつきちゃん。さっきまでずっとそこにいたんだよ」秋葉はいつきから、いも子のとった行動について聞かされたが正常に把握できずにいた。しかしそんな秋葉を慰めている暇はなかった。いまやカークウッドは敵の本陣ともいえる場所なのである。
そんなとき、いつきたちのもとにカークウッドに残り密かに箱に入れられた住人たちを救出しているものたちが現れる。えにぐま同盟とも獅子堂元老院とも呼ばれる彼らは、箱に入り死んだ人間は、ある方法で処分されるというネルヴァルのシステムを逆手に取り、生きているものを死者に見せかけて住人を解放していた。しかし箱に入り、洗脳されてしまった人間たちの精神は正常とは言えず、箱に依存する体質になってしまっていた。秋葉の級友、フリオとネネコも同様であった。しかも箱に入れば欲しいものが全て手に入り、本来もっとも長生き出来ると考えられている箱内で不審な死が相次いでいるらしい。原因は判らない。元老院に出来ることは一人でも多くの人間を救出することだけだった。
だが、クサンチッペの送り込んだ警備メカにより、居場所が明るみに出てしまった彼らは多くの箱人間を残し、脱出を余儀なくされる。脱出の為に乗り込んだシップも上等なものとはいえず、一同はすぐにでもクサンチッペに捕らえられそうな危機的状況に陥った。
その危機を救ったのは、どこからともなくジャンプし突如現れたベンケイだった。彼は意図しない体当たりをクサンチッペにかまし、怯ませることに成功。その隙にいつきたちはシップを収容するようベンケイに依頼。一度はハッチを開けたベンケイだったが、クサンチッペに寝返ったのかと脅され、すぐにその扉を閉めようとする。秋葉たちを乗せたシップは、この期に及んで孤立無援。誰もがベンケイの軽薄さを恨んだそのとき、ベンケイ内で蹴りと怒声が飛ぶ。
「私が目を光らせないと実に安易な妥協をするようね」
プロキシマの冠を手に入れるミッションから、一切連絡の取れなくなっていたつつじがここに復活。なにをしていたのかは禁則事項。ともかく、ベンケイはつつじにどやされ、ハッチを開く。さらにネルヴァルの洗脳から解かれた高嶺姉も味方につき、再度ベンケイの体当たりでクサンチッペが怯んでいるうちに、つつじの命令の元、ベンケイはインスマス暗礁に向けハイパージャンプするのだった。
次回へ。
感想
万丈さんの演技が光ってました。声の凄味はやはり流石、ぞくぞくしちゃいますね。ただ展開的に疑問を感じずにはいられない。あんなにも短時間でやられる月政府+ウーレ人民共和圏って出す意味あったのか? いもちゃんの特攻が虚しいなあ。ネルヴァルの強さを示す場面としては効果的だったとは思うけど、いもちゃんの弔い戦みたいなニュアンスも含まれていたし、“ネルヴァルが敵である”っていう感じはやや希薄になってしまったような気がする。
それは箱に関してもそうで、いつき君とウルは「許せません!」と断固打倒ネルヴァルの意志を見せていたけど、元老院いわく理論上もっとも長生き出来る環境というのは魅力的ではないか。問題なのは不審な死を遂げる骸の存在であって、ネルヴァルのすることが悪と未だ割り切れないもやもや感は、戦うことの意味すら曖昧な感じを受ける。
秋葉がいもちゃんの消滅をいつき君から訊いた場面は、ほとんどテンプレ的な台詞の応酬で、ストーリー的にとりあえず凹ましておいて放置、って意図がみえみえだったのが残念でした。いつき君の潤んだ瞳はキレイでしたし、双方中の人の演技は良かったと思いますが、ぶっちゃけ私自身、いもちゃんが死んだ意味が判らないので、なんとも感情移入しているような、どこか冷めたような不思議な気分でした。
そして今更感漂う中、登場した獅子堂元老院。もうキャラ増やすなよw しかも更に今更感な箱の設定。あの赤い段ボール箱に死者の脳と神経を使っているって? そんなことぶっちゃけどうでもいいのよ。もしあれがネルヴァル酷い! っていう演出ならかなり微妙。普通の人間界でも死んだら骨壺いきだし、段ボールの具在になろうがなんだろうが死んだら関係ない。肝心の骸に関しては詳細不明だし、もう話が結末に向かってんのか、それとも未だ発展し広がっているのかよく判らんぞ。それはキャラにも同様にいえることで、生徒会長といつき君のフラグは何故今更? ここまでの話を見る限り、いつき君が地球孤児だったっていう設定は非常に蔑ろにされていたわけで、今更シンパシーを感じる男を出してくっつけちゃったりしたら破綻もいいとこ。生徒会長にその設定いらないからいつき君のほうの話回収してあげてよ。
それとレオパルドの劣化が激しい。カリスマ性なんてもう欠片も見当たらないw ちなみにどこかで読んだ記憶があるんですが、チェスはコンピュータのほうが強いらしいです。将棋や囲碁なんかで名人を倒せるコンピュータはまだないとか訊いたことあります。もうレオパルドの酷さが如実ですよ。それとも風音のブレインが素晴らしすぎるのか。何が言いたいかってチェスで遊んでる場合じゃないんですよ、ってことです。
停滞感しかないレオパルドに比べ、中にいる主が素晴らしすぎるために急成長中のベンケイは、出てくるだけで楽しくさせてくれます。ベンケイの成長っぷりが一番主人公っぽく見える。それにしても彼は何故カークウッド付近にジャンプしてきたのでしょう。風音に冠を持ったままあそこに行くよう言われていたとは思えないし、そもそも作戦全貌を把握していたのはつつじだけだろう。果てしなく広い宇宙で彼があの場所にジャンプしたことは、秋葉たちにとって非常に幸いだったわけですが、なんという御都合主義。
つつじも粋な再登場をかましてくれましたが、ほんとに何してたんだ。ベンケイが目的を達成し、その後どんな行動に出るか見張っていたとか? それとも無謀に思えた作戦を本当に成功させちゃってベンケイを褒めたい気分になったけど、プライドがそんなこと許さなくて、ベンケイがボロをだし叱咤するチャンスを窺っていたとか? そんな理由で身を潜めていたなら可愛げがあっていいんだけど、なにも語らないのは脚本的にどうかと思うが・・・。
さて、こんな行き当たりばったり感満載の宇宙かけが向うところはどこなのか。
物語を動かすことの出来るキャラが風音、つつじ、フォンくらいしか見当たらない。
ぶっちゃけ“宇宙をかける少女”っていう設定が今のところ空気すぎるから、主人公不在でどんどん漂流しているイメージしか湧かない。なによりスッタフは高嶺を眠らせすぎた。あんな格好いいキャラを今の今まで放置ってもったいないお化けでちゃう。
まあ終盤ってことでここまで見たからには結末は気になるところ。なんやかや次回を期待しちゃう。なにかやってくれるだろうと希望的な気分にさせるのは、私がサンライズっ子だからだろうか。
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