
粗筋
自分がセレソンであるということを証明するには、Juizに板津の願いを叶えてもらうことが一番効果的だった。板津の願いは広島東洋カープの優勝。juizの根回しによってさっそくカープの大型補強がマスコミによって報じられるが、もちろん2月の現時点で優勝するかどうか判るはずもない。だが、板津の世間コンピュータの示したカープの優勝予測の数値は99.98パーセント。10年もの間、リーグ優勝どころかAグループにすら入っていないカープが、ペナント前からこの数字を叩き出すことの異常性と、なにより板津は自分の作った世間コンピュータの性能を信じることで、滝沢の言うことがほぼ確実な情報と判断した。

板津は世間コンピュータの他にも、おそろしくハイスペックなスパコンを部屋の奥に保有していた。かつて神童とまでいたわれた板津は、コンピュータに見合ったその頭脳でいとも簡単に近藤のノブレス携帯を解析していく。次々と明かされる滝沢の過去の行動。滝沢はニート2万人の失踪に関わっていたものの、大量虐殺ではなくドバイへ人身を輸出していたようだ。更に板津は他のセレソンの過去ログ解析にも着手する。その中にあった「日本政令主要6都市を空爆」の文字。迂闊な月曜日がセレソンの手によるものであったことが確実となった。

一方その頃セレソンbP物部は京都在住のbP0とコンタクトを取っていた。物部は滝沢の動きを嗅ぎつけ、bP0と板津のアパートへ向かう。滝沢が過去の行動を知るのは、彼らにとって都合が悪かった。どうやら記憶を失くす以前の滝沢は、彼らとなんらかの対立をしていたようだ。
アパートの一室では滝沢の知らない情報が次々と掘り出される。次第にテンションが上がっていた二人だったが、そのとき、買い物を頼んでいた咲とみっちょんが板津のアパートに帰ってきた。滝沢はまだ、この秘密を彼女らに明らかにする気がない。滝沢は何もデータは残っていなかった、と嘘をつき東京に帰ることを提案。携帯の番号だけを板津のもとに残し、彼らはアパートを後にした。
滝沢たちが部屋を去った後も、板津は過去ログを読み漁った。次々と明らかになるここ1年、日本で起きた不思議な現象の真相。bP0が一連のミサイル事件に関わっていることは明かだった。そして板津はなにか決定的な事実を掴む。すぐに滝沢に知らせようと、自分の携帯を掴む。契約が切れていた。仕方なくメールで伝えようと板津は滝沢の残したメモを見る。携帯番号しか書かれていない。どんなに部屋にハイテクな機器を揃えても、彼には滝沢に連絡をとる手段がなかった。
彼の目についたのは、さきほど咲が買ってきてくれたジャージであった。本当に着るものが一着しかなく、それを風に飛ばされ引き籠ることを決意し数年、彼の決意が崩れる好機がようやく巡ってきた。彼はその体躯に見合わぬジャージを着用し、外へ出た。
しかし彼を待ち受けた結果はあまりにも容赦のないものだった。「これから何十万、何百万という人間を殺す英雄がこんなことくらいでビビるな」物部の運転した車は、無情にも板津の身体を跳ね飛ばす。板津は道路脇の流水路で息絶えた。

次回へ。
感想
久々に本筋に戻ってきた気がしました。ここ数話、自分の欲望を叶える為だけに活動するセレソンやエデンのメンバー視点からみた滝沢ばかりが描かれていただけに、やはり迂闊な月曜に関する情報が出てくると物語が進み、盛り上がったように感じますね。本作で起きる事件の規模を考えれば、日本にミサイルを撃ち込むことに比べ、黒羽のジョニー狩りなんてカワイイモノですよ。今回はそういった意味でスケールのでかい話でダイナミック且つ精緻だった。
さて、今回露出した情報により記憶を消す前の朗は物部、bP0(ゆうき君?)の行動を止めようとしていたことが明らかになりました。ミサイルを日本に撃ち込んだのは物部の仕業と思っていましたが、どうやらbP0のようですね。彼らは持ち合わせた思想が近いようで、結託している感が強い。まあどうみても物部が主導のようですが。どちらがミサイルを日本に撃ち込もうと提案したのか気になりますね。で、bP0の目指すところが「戦後からやり直すため日本をミサイル攻撃」というもの。かなり過激派な思想の持ち主です。とりあえず今回転げ出てきた情報をだいたい書いてみました。
bP0の動き↓
2010/8/25/wed/11:02
軍事評論家を取材
2010/8/25/wed/11:17
日本主要政令都市6年を空爆
目標地点:札幌仙台名古屋大阪福岡群馬豊洲新馬場青物横丁芝公園横浜
レーダー上に飛翔体を映し出しミサイル攻撃を誘発
海上自衛隊のレーダーをハッキング
2010/12/21/tue/21:04
豊洲をミサイル攻撃
10 2010/12/22/wed/21:22
戦後からやりなおすため日本をミサイル攻撃
朗の動き↓
2010/11/4thu/8:09
地震警報発令/震度6強
2010/11/22/mon
広域避難場所確保
警官の制服手配/1000着
大型バスチャーター/100台
街宣車/150台
街頭モニターのテロップ改ざん
2010/12/10/fri/22:30
コンビニ弁当2万食、2週間分をデリバリー
2010/12/13/mon/16:06
外務省への2万人の身柄保護の働きかけ
迂闊な月曜日までの約3ヶ月のタイムラグはなんなんでしょう。意図的なのか、juizをもってしてもすぐには用意できなかったのか。てか豊洲だけ何でミサイル攻撃の日付が11/22じゃないんだ? あとbP0の「戦後からやりなおすため日本をミサイル攻撃」と「トマホーク60発」だけ何故赤字だったんだろ。板津が強調したのかもしれません、エクセルにおとしたデータ送信画面みたいだったし。ぽろぽろと情報がこぼれたものの、まだまだ真相に迫る情報は不足してますね。
ログ以外の情報で判ったことは、朗は避難誘導するためにニートを集めたっぽいってこと。何話か前に出てきた元ニートの一人が避難誘導してる場面がありましたし、朗も実際に現場に出て避難誘導していたようでした。で、その朗の企てに関わったニートたちを危険から遠ざけるためドバイに輸出したのではないかと予想。そのついでに働いてこい、と。偽名をたくさん用いていた理由はまだ判りません。まあこんな予想はどうだっていいんだ。考えることが楽しいしんであって、当たろうが外れようが面白ければ何の問題もない。


今回はスパイ映画さながらの緊張感と、板津が悲劇の死を遂げたことで暗い雰囲気が漂っていましたが、笑えるといった意味での面白い要素もなかなかふんだんだったのではないでしょうか。
まずカープ。板津の胸にあったロゴの「C」は中大ではなくカープでした。てかカープ優勝に費やした金額が5千6百万だったんですが、安すぎるだろう。これもjuizの手腕の見せ所なんでしょうか。云十億貰っていたであろう海外選手を破格の安値で引っ張ってくるってどんな手段を使えば出来るんだ。ま、まさかjuizが身体を売って・・・。まあいいや。で、私カープファンなんですよ。こういう場面でプロ野球12球団の中からカープが選出されたのは実際喜ばしいことのはずなんですが・・・。弱い象徴って扱いなだけに複雑w てかここでカープを使うってことは世間一般に「カープが優勝するはずがない」っていう印象が根付いている証拠なんでしょうか? 実に悲しいことよ。是非訊いてみたいですね、普段野球を見ない人に「ここでカープが出てくる意味判りますか?」とね。まあ確かに弱いのよ。最後のリーグ制覇はなんたって91年だから。やっぱ選手層が薄いからペナント途中でのバテや怪我が苦しいのよね。私は緒方正田野村江藤前田ロペス金本西山大野の時代あたりからカープファンなんで2位や3位のときは憶えてるんですけど、91年優勝のときはまだプロ野球知らなかったから、カープが優勝した記憶ってのはないんです。89年生まれの板津も当然カープ優勝の記憶はないわけだ。彼は悲願していたに違いない。juizを使ってという非常にアンフェアな手段での優勝目前ではあったけれども、彼はそれすら見ることもできず逝ってしまった。あれ、もしかして彼は実はカープファンじゃなくて、彼こそ世間一般の視点で“ありえないこと”としてカープを引き合いに出したのかも? 女子が部屋を訪れたとき腰に巻いていたタオルもカープのものだったからおそらくファンだったとは思いますが。
まあそんな彼の神童っぷりで明かされた過去ログは実に有益な情報でした。こんなにも画面の文字を読まされるアニメはなかなかない。そのなかで非常に興味深いのが、ウインドウの表示順序からして、おそらくbWであろうと思われるセレソンの行動。
小さな反則、笛吹かず
チーム強化
組織的な守備強化
日本代表の決定力不足解消
選手を育成する段階での指導
こいつがサポーターだな、日本代表の。競技が何か明記はされていないけど、決定力不足といえばやはりサッカーだろうw 別にチームの強化とかしなくても、「W杯優勝」とか「対国際試合勝利」とかで指定すればいいのに。ウィニングイレブン気分なんだろうか。そしてbVも行動が怪しい。「市立北星小学校集団食中毒」とか「汚染米混入」とか「賞味期限切れの牛乳出荷」とかなにがしたいんだ。bUも「カラオケ60人予約」とかやってるし、この辺りのセレソンが今後ストーリーに介入してくるのか、してきたとしたらどんな風に処理されるのか、楽しみなようなそうでないような。まあ他のログみたらしっかりセレソンしてるかもしれないし、その辺りは追々判るでしょう。だって例のbP1の「エレガントに死体処理」も一見意味不明だからねw
で、今回は板津回の為、比較的出番の少なかった女性陣。みっちょんの「パンツ!雑誌買ってきたよ」は吹いたw 君、数分前に滝沢に「パンツって呼んだら心証悪い」みたいなこと言ってたじゃないかw パシリにされてややプンスカだったんですね。理性<感情な感じがかわいい。数年振りに板津を見た際、必死に目を擦ったりしてましたが、その反応古いからw まだ物語に本介入って感じではないですが、板津なき今、頼れる理系は彼女一人。なんにしても板津の送信したデータが無事みっちょんのもとに届いていることを祈る。

それと咲はおとぼけの風ですが、鋭いときは鋭い。「どこの携帯か、とかは?」って質問したときの咲の声のトーンがやや低めでいかにも“そんな答えじゃ満足してませんよ”って感じでリアルな怖さがあってよかった。板津と朗はそれはそれは動揺したでしょうね。まあNECの携帯なんですけどね。てかあのシーンの男たち、白々しいにも程がある。もっとうまく嘘つけよw 朗の営業スマイルがモロでしたね。咲は男を見る目はなかなかのものだろうから、もともと怪しいと思っていた上に、朗のあの対応をみて疑いを強めたのは間違いない。というかなまじ黒羽と会うなど妙な体験をしてるだけに、真相を知りたいって欲が、彼女の必死な感じの言動に表れてました。作画もいいし、早見さんもほんと巧いわ。残念ながらそんな必死さも「知らないほうがええこともあるでぇ」という咲が聞いた板津の最後の言葉で一蹴されてしまいましたが。少なくともあのくさい演技で朗と板津が結託していることは見え見えだったし、咲にとっては最低限“朗は悪人ではない”ということはほぼ確信できただろうからちょっと安心ってところでしょうかね。ただ少しでも好意を持った人の持つ謎ってのは、そりゃもう追及したくてしょうがない衝動に駆られるだろうから、今後の咲の行動は非常に楽しみではある。

そんな墓穴を掘ったような感じの朗ですが、やはり対人スキルは半端ないですね。咲たちが部屋を出て行ったあと、真剣に板津を見つめた場面がありましたが、まさか男ですらあんな簡単に落ちるとはね。相当な人心掌握っぷりだけど朗なら違和感なしって気分にさせてくれるあたり、ここまでのキャラ作りの周到さが垣間見える。それと朗は人を見る目も確か。板津豊、期待どおりの男でした。
とりあえず部屋も布団も髪も息もシャツもパンツも臭そうな板津だけど、性格はみっちょんが言うほど難しい男でもなかったような気がしました。なかなかユーモラスだしそれなりに常識人で、匂いさえ平気なら友達になりたい感じ。ところであの部屋の電力アンペア契約とか耐久性ってどうなってるんだろうか。まあ兎に角、彼の死に涙することは積み重ねてきた時間的にないにしても、衝撃的であったことには違いない。滝沢たちと別れてからBGM的にやヴぁいって感じだったから、ジャージを手にしたときは外へ出るなーーー!と心の中で叫んでましたが、部屋にいても結局juizの前には無力だし、咲がジャージを渡そうが渡しまいが結末は変わらなかっただろう。車に跳ね飛ばされ溝にみっしり嵌ったときは、その阿呆な姿に重症とかで済むかな、と一瞬思ったけど、ぽとりと落ちた椿でその望みは完全消滅しましたね。

敢えて言わせてもらいたいのは、スタッフは板津豊というキャラを非常に巧く使ったなあと。たった30分弱しか彼は出なかったわけだけど、板津というキャラの濃密さはしっかりと伝わってきました。物部が何故彼を殺したのかという理由はまだ明確ではありませんが、彼が朗にすぐ知らせなければいけないと思った情報というのが、相当なキーであるということがストーリーの中に魅力的な謎として残りました。不幸中の幸いは外で死んだことですね。あんな布団の下にキノコが生えた部屋で、誰にも発見されず死体が白骨化なんてことにはならなくて済んだことは唯一の救いだったような気がします。
さて大詰めに向け、bP物部の行動がついに表立ってきました。bP0はおそらく駒でしょう。デザがいかにも不幸キャラでしたし。ただ、ミサイルを日本に撃ち込むっていう大胆なことを思いついたのが彼自身だったとしたらなかなか侮れない。それと今回思ったのが、彼らの思想を簡単に悪だと決め付けるわけにもいかないということ。現代の解釈、視点から見れば、明らかに反道徳的行為ですが、日本を変えるという革命に云万人の犠牲はやむなしと考えるのは、このゲームに関して言えばそこまで反道徳的じゃない気もする。勿論私が当事者だったら死にたくありませんが。朗の中では「Mr.OUTSIDE」をぶん殴るということが一番の燃料になっているようですが、その目的を達成するにはまず日本をいい方向に導かなくてはならない。ただエデンのメンバーはシネコンの壁文字を見てしまったし、咲ともやや距離が離れ気味。新たに仲間として頼りになりそうだった板津も消え、他のセレソンは朗に敵意を持っている。朗を取り巻く状況は非常に芳しくないわけですが、残された少ない話数と映画でどう結末をつけてくれるのか非常に楽しみです。

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初めまして。
記事読ませていただいて、もしかしてサポーターが実は本当のサポーターだったりするのかなと思いました(笑
それから、「云十億貰っていたであろう海外選手を破格の安値で引っ張って」来たわけでなく、カープのフロントに云十億払ってでも海外選手を獲得する気にさせる工作料が5千6百万円だということだと思いますよ。
例えば、カープの首脳が5千万円の賄賂欲しさに球団の金を云十億使う決心したかも知れません。突然球団に5千6百万円の現金が増える方が不自然ですよね?
>カープのフロントに云十億払ってでも海外選手を獲得する気にさせる工作料が5千6百万円だということだと思いますよ。
なるほど。オーナーあたりの上層部の一存で多額の金額を海外選手に提示したということですね。確かにこちらのほうが現実味ある気がしてきました。
ただ自分で突っ込んでおいてこう言うのは妙ですが、以前のホテル買収金額にしても破格だったことを考えれば、あまり突っ込んじゃいけないところなのかもしれませんね。カープが話題に上がったので少し熱が過ぎました。