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粗筋
次鋒戦を前に、早起きしたことと緊張や興奮によると思われる寝不足が原因で、麻雀に影響を及ぼしそうなほどの眠気が和を襲う。久の咲と一緒に仮眠室にいってくればいい、という提案は和とにとって生唾ものだったが、露骨さを見せぬためにも、和はまず敢えて一度断ってみた。それにこのときまだ、咲は一言も眠いとは言っていないし、そのような素振りも見せていない。根っから理詰めでものを考える和にとって、この提案に軽々しく乗ってしまうことは、獲物に飛び付く動物のように野性的で野蛮なことに思えたのだ。丁度そのとき、明らかに気を落とした優希が控室に戻ってきた。和はこれを好機と捉えんばかりに咲を仮眠室に誘い、手を取って颯爽と部屋を出ていく。和曰く、優希は気が強く、きっと同級生の私たちが同じところにいたら大泣き出来ないでしょう、とのことだが、咲に対する下心もあったことは、無論言うまでもない。
次鋒戦のメンバー集合のアナウンスが入り、会場の緊張感高まる中、和と咲は仮眠室にはいった。シーツも布団もきれいでふかふかだね、と設備の良さに感激する咲に、和は「誰もいませんね」と既に理性を少し失いかけ、臨戦態勢に入っている様子を見せる。彼女たちはその閨で昔の思い出を語らい、そしてしっかりとお互いの手を握るのだった。
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その頃、次鋒戦はというと、結果からいえば清澄次鋒のまこは惨敗した。眼鏡を外すと過去の対局を思い出すことができ、それをもとに染め手を駆使するというのが彼女の手法だった。しかし予選といえども決勝戦という大舞台に、あろうことかイレギュラーな存在がいた。鶴賀学園の妹尾佳織である。
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ことごとく初心者打ちを見せる彼女であったが、その打ち筋はときに熟練者を惑わせる。しかもここへきてのビギナーズラックで、四暗刻をはじめ自模和了を連発。その被害を一番に負ったのがまこだったのだ。次鋒戦を終えそれぞれの結果は風越女子140800 鶴賀学園112000 龍門渕77800 清澄69400というもの。清澄とトップの風越女子との差は7万点以上。これを追い上げるには中堅竹井久の活躍が必須ともいえ、裏を返せば久がしくじると清澄はかなり厳しい立場になる。ここまで手の内がほとんど明かされていない久の雀力は如何なるものか。主役二人はすやすや眠る中、主に風越女子の聖母こと福路美穂子が俄かに活気づく。
次回へ。
感想
大会中という形式的な展開の中、巧い脚本だなあと思わせてくれる展開でした。うむ、面白かった。咲の出番を危惧していましたが、まさか仮眠室とは。このいい意味で巫山戯たこの設定は本作らしくてかなり笑えた。和に焦り汗をかかせて言い訳めいた台詞を喋らせるという、スタッフのあくどい演出には、彼女らへの愛すら感じる。

そんなスタッフの愛と商売としての戦略に塗れた二人だけのベッドシーン! いやはや涎が止まりませんな。粗筋には和の心情を勝手解釈してそれっぽく書きましたが、早く仮眠室へいけ! と垂涎の的にしていたのは何を隠そう私なわけで、にやにやが止まらないっ! 二人の関係において、どちらが攻めかというのはなかなか興味深いですが、なんとも煮え切らないねw 咲は攻めなのか、たんに純粋なのか知識的に晩熟なのかよく判らないし、和は和で思いきりがあるように見えて実はへたれっぽい。まあ愛に型なんてないってことですね、きっと。で、思い出したように感じるこの仮眠室という存在の違和感。馴染みがないだけに、笑いの種のような存在として認識してしまったんですが、文化系部活動の大会に仮眠室ってもしかしてデフォ? なんにしても大会中に昼寝するという彼女らのまったり感を贅沢に演出してくれた仮眠室に感謝。
咲の口調がほんとに可愛い。「〜だよ、〜たよ」が最高!
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まあ履いてないから脱いだらこうなるよね。
冒頭にいわば無理やりともいえる手段で主役の出番をねじ込んだ10話でしたが、今回はそれに負けじと脇キャラたちもかなり奮闘していたように思えます。そういった意味でかなり充実感高いストーリーでした。私にそういう風に思わせてくれた勝因は間違いなく麻雀シーンを減らしたことなんですが、そこだけ考えるとやっぱりまこの扱いにしゅんとしてしまうね。敗因が“相手が初心者だったから”にまとめられてしまったのは、先鋒戦の丁寧な描写と比べてしまうとやはり可哀相なほどあっさり。彼女自身見せ場は一つもなく、能力説明も久と優希の会話だけ、となんともお粗末。しかしこれはキャラが多い本作の仕方がない演出のひとつでもあり、責める気はない。
むしろ評価したいのは他校陣営の充実っぷりとサイドストーリー。
ここぞとばかりに頭角を現してきた鶴賀学園陣営。部長かっこよすぎ! 勿論その魅力のほとんどは中の人のハスキーヴォイスなわけで、あの強気な物言いや態度から溢れるカリスマ性は、昨期OAされた百合学園コメディの某人物を彷彿とさせる。ここまで謎に包まれていた鶴賀学園が、彼女の存在だけで敵として一気に魅力的にしたと感じさせてくれた。
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それと今回サブタイにもなった初心者の妹尾佳織。初心者が麻雀に不慣れな感じの動作が巧く描かれていました。このあたりの視覚的な描写はやはり全体通して丁寧な印象。リーチしたあとの気張ったデフォルメ顔とか彼女なりの頑張りの方向性があまりに場違いで面白かった。
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そして龍門渕。不覚にも純がかっこよくて僅かに心揺らされてしまった。冷静になってみれば、中の人的にかっこよっくないはずがないわけで、「腹立つ!」とは言うもののスポーツマンさながらの清々しさは見てて好感。負けて現実を見た、といったところかな。やはり先鋒戦前に優希のタコスを勝手に食べたときは自信過剰になっていただろうし。そんな悠々たるさまとは逆に透華のヒステリーっぷりは相変わらず心地いい。対局が待ち遠しいねえ。和の前にどんだけの強気を見せてくれることか。

それと真打の衣。SDがほぼデフォじゃねえかw 辛辣な口調に相対し、ほんとは可愛いおこちゃまなんですっていう演出だとは思うが、確かにそのギャップはいい。ゴミプロ雀士とかかたはら大激痛ってw おそらく次週、咲と衣がどんな対面をはたすのかも楽しみ。
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最後に他校に比べ明らかに持ち駒のない風越女子。次鋒まではなんとか粘りましたが、やはり優勝する気配は一番薄い。だが聖母の輝きは薄れず! 持ち回も終わっちゃったしもう出番もそうないと思ってたけど、まだまだ健在ですね〜。嬉しい誤算です。メインを務めることはもうないだろうけど、細く細く出番を繋いでほしいですね。さて、そんな明らかに引き立て役っぽい立場になってしまった風越女子の面々、いい味だしてます。中堅文堂の「清澄の中堅と大将の牌譜おかしくないですか?」というミステリーめいたこの台詞、最高にしびれました。1話からずっと見ているのにまだ明らかにならない久の麻雀を、彼女たちだけが知っている。この小出しな演出は想像を掻き立てますね〜。追い討ちをかけるように聖母の動揺。久に恐怖を感じてしまうことすら禁じえないこの演出。ここまで久の麻雀をひた隠してきた成果がやっと出てきたように思えます。
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まさに満を持して次回の登場を待つ久ですが、悪形待ち以外にも特徴があるのでしょうか。聖母の動揺を考えれば相当の打ち手のようですし、確かにそういった凄味を隠しているような演出はところどころ散りばめられてきたような気がします。今回の★の子をみて思ったのが久は天性のイカサマ師説。★の子は彼女自身“罪”と言えるなにかを過去にしでかしたらしい。麻雀で罪といえばイカサマしか思いつかない短絡的な脳に任せて考えた結果ですが。
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そんな★の子はイカサマをふいにやってしまわないように器具をつけて制御していると考えてみる。しかし久はそんな数台のカメラにビビってしまうようなイカサマ師ではなく、公衆の面前でやすやすとすり替えや千鳥をやってのけるほどの凄腕。確かに身につけた技術は凄まじいが、まさかの発覚を恐れたため中学時代から急に試合にでなくなった。
どうですかこの展開。自動卓だし牌譜はすべて管理だし作品の雰囲気と完全なるミスマッチだからまずあり得ないだろうけど、他の凄腕雀士たちが特異なる派手な才能で麻雀を撃つ中、久だけ密かにイカサマでのし上がるとしたらなんだかオラわくわくすっぞ。これまでに触れた麻雀題材のものはほとんどがイカサマは一種の美学的立場だったから、私としてはなんの抵抗もないけど、高校生の大会でしかも美少女たちの戦いとなりゃあ受け入れられない能力だろうとは思うw ただぶっちゃけもう超能力は飽きた。超能力ってのはいい過ぎとしても能力の裏付けが弱いのは確か。だからなんでもあり感が強まって対局の結果は比較的どうでもいい気がしてしまう。まあ今のところキャラの魅力はたっぷりなんで、麻雀のほうはそれなりに描けていれば満足ですけど。久の過去のエピソードとか見たいです。
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さて、次回「悪戯」久がどんな悪戯をかましてくれるか大いに期待です。
ああ、悪戯で思い出したけど、まさかの再登場したサブにも満たない脇キャラよ、そんなつまらん悪戯は期待してねーんだよ! 悪戯ってのはな・・・!! さあ次回、衣の悪戯に期待。
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