粗筋
キャルとパートナーになったといっても、ツヴァイはその少女から襲撃犯の情報を訊き出すことが目的だった。しかしそう簡単にことは運ばない。ツヴァイは友達に頼みジュディの仇を取ると豪語したのだが、キャルはその場面に立ち会いたいという。その友達とすぐに連絡がつくかは判らない、とツヴァイは御茶を濁しその場を去ろうとする。しかし今度は、行く宛がないから泊めれくれと少女は言いだした。まんざらじゃないツヴァイは彼女を家に連れて帰った。
ツヴァイはリズィを暗殺者の友達ということで話を合わせようとした。苦笑しながらも快諾したリズィであったが、不覚にもその電話での会話をアイザックに聞かれてしまった。もともとアイザックの縄張りで起きた事件である。彼らは汚名返上に燃え、一方でクロウディアが自分たちを貶めるために今回の事件を起こしたのではないか、と睨んでいた。
夜半、アイザックはリズィと共にツヴァイの部屋にやってきて、少女を出せと要求した。しかしツヴァイはその要求を呑まなかった。「彼女はなにも知らない」ツヴァイのその強い反発を受けたアイザックであったが怯まない。明日10時本部でその了簡を訊かせろ、と一応の譲歩案を出しその場を去ったものの、彼の抱くクロウディア一味へのグレイな印象はほぼクロへと変わった。
その会話の一部始終を奥の部屋で聞いていたキャルはツヴァイこそがかの有名な暗殺者であることを知った。そして彼女は抱えていたバッグの中身を床に広げた。それはインフェルノが受け取るはずだった500万ドル。キャルはツヴァイの予感通り襲撃犯についてなにも知らなかった。だがジュディの復讐を願う気持ちだけは変わらない。「探してたの。玲二みたいな人、お金で手伝ってくれる人。・・・お願い、これで全部殺して! 夕べあの路地に来た奴、銃を撃った奴、この金を受け取るはずだった奴、ジュディを死なせた奴ら全部、一人残らず殺して・・・」ツヴァイにとってこの金が出てきたことは望ましくなかった。襲撃犯は見つからず、だがしかし金はちゃんとある。そしてキャルの要望で死すべき人間には自分が含まれている。この状況をどう打開するか、彼はひとつの答えを出した。
次の日、本部には一連の事件にかかわる人間が集まった。まずツヴァイはキャルは巻き添えを喰らった通行人の妹というだけで何も知らない、と訴えた。しかし自白剤を使ったわけでも録音データがあるわけでもなく、証拠を示さぬツヴァイの釈明にマグワイヤもアイザックも納得しない。しかし続けて出てきたツヴァイの言葉は意外なものだった。「俺はあの子の中に別の可能性を見出した」つまりツヴァイは、キャルを暗殺者として育てたいと申し出たのであった。そのあまりにもツヴァイの感性に依存した釈明にアイザックは到底納得しなかった。が、しかしマグワイヤの返答は結果次第。こうしてツヴァイは自分の命の為にキャルを暗殺者として訓練せねばならなくなった。
だが、ツヴァイは考える。「本当にキャルを俺と同じ道に進ませていいのか」
次回へ。
感想
まさかこんなかたちでキャル暗殺者化計画の実行キーが押されるとは。なんか巧く出来てるなあ。公式のキャラ紹介でいずれ暗殺者になることを知ってはいたものの、てっきりキャルの熱い要望で自ら暗殺者になるもんだと予想してた。だから他人の操作によってキャルの選択肢というものが潰された今回の話はかなり残酷な印象。だけどもとはキャルのついた嘘から発展してしまった現状で、誰が悪いとは一概に言えないあたり非常に巧い展開だと思った。
歴戦の傷勲章が猫の足跡みたいに見える。
それにしてもキャルのぺったんこ具合が・・・。この娘、原作版はどうか判らないが、アニメ版は公式をみても書いてないあたり、まごうことなき年齢不詳の幼女である。シャワーシーンや身の丈にあっていないタンクトップ姿をみるだけで感じざるを得ない背徳感に、日本のアニメの素晴らさを垣間見る私はやはり駄目な人間なのかもしれない。
得体のしれない男に連れて行ってもらうために嘘をついたり、兎に角全員殺して欲しいと望んだりとその場限りの綱渡りな行動、感情が目立つキャル。身から出た錆とも言えそうな展開で暗殺者として雇用的に安定するみたいですが、その成長ぶりや如何に。次回予告の「あの子はおそらく天才だ」っていう台詞に期待せざるを得ない! 性格的にアイン、ツヴァイとは全く違うキャラである彼女がどんな暗殺者になるのか、どんなファントムエフェクトを見せてくれるのか。まあ次回の見どころは、ツヴァイはどうキャルを納得させ、暗殺者として訓練するのだろうかってことだろう。
それと今回、個人的に初めて組織の凄味みたいなものを感じた。マグワイヤ怖すぎる。ここまでツヴァイのすべてを見てきたことで、もはや暗殺はショーであり、得体の知れぬ恐怖などは微塵も感じない昨今、突如おそったマグワイヤの組織体としての得体の知れぬ怖さは半端じゃなかった。アイザックは怒ってたけど、まさかマグワイヤだってあのツヴァイの釈明で納得したわけではあるまい。ここはひとまず泳がしておくか、みたいな酔狂な感じも彼の恐ろしさを煽るには十分で、ツヴァイ釈明場面は久々にハラハラした。アイザックも見かけあんなんだし、マグワイヤとの見解の相違はあるものの縄張りを荒されたっていう執念はかなり危険だと思われる。ファントムを襲名したことで格段に増したツヴァイの組織としての役割は、その責任を取らされるという意味では諸刃の剣といったところだろうか。
そもそも今回こんな危機的状況に陥ったのはキャルをツキノワグマみたいなアイザックから守るためであって、立場を考えればアイザックにキャルを引き渡していたほうが不利にならなかったはず。それでもキャルを守ったということはやはり情が働いたのだろうか。一般的に守るものがある人は強さも弱さもまさに諸刃なわけで、今回のツヴァイをみて微かによぎるのは、やはりアインの二の舞。キャルと接した短時間でツヴァイに彼女を守ろうとまで思わせたものはなんだったのだろう。人を殺す場面では格別な無情さを発揮するツヴァイも少女の前では形無しってことなのか。なんにしてもかなり危険な賭けにでたツヴァイ。少しでもキャルに資質を感じていたのか、それともまったくのデタラメだったのかは今回の描写だけでは判断できないけれど、おそらく後者だったのではないだろうか。しかしまあそのデタラメも予期せぬ誤算、生きるも死ぬもキャル次第となったツヴァイにとってはひとまず良かったんじゃなかろうかね、次回「監視」。
ツヴァイのほどこす訓練が如何様か楽しみ。きっとツヴァイはキャルを前にかつてのアインのように無情に振る舞うことはできないだろう。お転婆っ気のあるキャルをどう手なずけるか次回も期待!
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