
粗筋
自分の存在はおろか、捨て牌の存在さえ消してしまうステルスモモの能力を和は破った。エトペンを抱き、自宅でのネット麻雀の力を存分に発揮した和は、久から渡されたバトンをしっかりと咲につないだ。副将戦終了時の得点は清澄114900 鶴賀学園102600 龍門渕101200 風越女子81300である。序盤トップを走った風越女子は見る影もなく、また龍門渕も昨年の覇者としての力にやや翳りをみせる。名門校を差し置いて無名の清澄、鶴賀学園が上位につける中、全国への切符をかけた最後の戦い、大将戦が始まる。
次回へ。
感想
なんかもう大会と麻雀はほんとどうでもいい感じがしてきた。
正直展開の薄っぺらさが先鋒戦からだんだんと増してきているような気がする。展開は置いといてキャラの言動を観察していたほうがよっぽど楽しめるし、実際に楽しい。けれどそうやってキャラに愛着を抱いてしまうと展開のしょっぱさが残念・・・とループする虚しさに包まれそうな気がする。
前回ステルスモモにかなりの尺を使ったことから個人的に心配した透華の出番。ああ、的中しちゃいました。和の当て馬、はたまた和を追い抜くなんてことを期待しましたが、結果は当て馬にさえなれないなんて。デジタルになり切れないところが強みでもあるなんてことを、前回★の子が言っていたわけですが、そんな設定はどこ吹く風。というか前回の親倍満のための設定だったようなもので、モモが台頭してきてからは一切見せ場なし。誠に透華ファンにとっては残念な展開でした。天使と悪魔の恰好をしたバーチャルな感じの演出も、ただ透華ひとりが盛り上がっていただけで特に役割はなく、今になってみればあのシーンはなんだったの? って気持ちさえ抱く。唯一、見せ場がないことを自身に突っ込ませるシーンのみが彼女の出番であったわけですが、なんの救いにもならないし、もはやギャグとは受け止められない残念なシーンでした。
というのも透華を咬ませ犬にして副将戦のメインとなったモモの描写があまりに残念すぎる。モモ自身には一切責任はないし、確かに能力的には透華の上をいっていたから出番があって当然であると思う。けれどその出番も実際は前回の1回切りで、実際のところ扱いは透華と似たようなものだった。結局、和の一人舞台でしかも和も大して喋らなかった副将戦。勿論盛り上がるはずもない。モモを和の敵ポジに当てた以上、モモには盛り上げるための仕事がもっとあったはず。本来、勝負事の要素を多分に含んだ本作は、モモが能力を破られてからの展開がいちばん描きがいがあり、見どころとなるはずだが「能力が効かない相手でも頑張れるっすから」の一言で片づけ大将戦に引き継いでしまった展開には唖然とするしかなかった。麻雀という心理戦を描くべき作品でなげっぱなしとは酷いといしかいいようがない。
トップを走り続けた和は勝っている最中も心理がほとんど描かれず、強さの描写が結果的な点数や順位、アナウンサーの実況によるものが多く、デジタル打ちの真髄が存在を認識できるか出来ないか、だけになってしまった。はっきりいって麻雀を知っている視聴者からしたら何故強いのかという部分をほとんど説明していないに等しく、なんか勝った、くらいの印象しかない。身体をぶつけあうバトルものや超能力の世界ならいざ知らず、麻雀というルールがはっきりしたものが題材である以上強いことの理由を述べないのは異議を唱えざるを得ない。
結局3週に渡って繰り広げられた(あんま繰り広がってないけど)副将戦はモモのエピがもっとも印象的というつまらないものだった。主人公の一人がついに登場し、大将戦への大きな盛り上がりになるだろうと期待した副将戦は、深堀にはラス和了を、透華には最高点の和了を、モモには副将戦での最高獲得点数を、和にはトップという順位を与え丸く収めた感じ。ぬるい、ぬるすぎる! 麻雀をするところを描くごとにつまらなくなる麻雀アニメってなんなんだ・・・。
そんなこんなでさらっと引き継いだ大将戦。咲の魔物属性に今更感すらある。各高校や実況が驚くのはまあ判るし、そこだけでとどめておけば咲の凄味みたいなものが醸し出されたいい演出になったかもしれない。でも新聞記者が驚いてしまったことでしょっぱくなってしまった。姉の出身地とか家族構成くらい調べればなんとでもなるだろう。というかそれくらいのことを偶然で押し通そうとする女記者は記者として持つべきアンテナが弱すぎる。情報をリードする記者が姉妹関係くらいのことで驚いたりしてる姿ははっきりいって滑稽ですらあった。龍門渕の純が「やっぱりあいつが清澄の5人目だったか」と言っていたのは能力者故の発言だろうか。そんな匂わせぶりな感じがかっこいいw 「目立たなかったな・・・」と人の傷つくところを直球で突いたり先鋒戦を終えてからの純はなんか面白い子になって好印象。
そんな周りのざわめきを余所に、嶺上開花連発の咲。やっぱり可愛さは超一級品。のびのびやってますっていうわざとらしい伸びのシーンも咲なら許せちゃう。ただいきなり能力連発ってやりすぎだろう・・・。ぶっちゃけ咲にはそれしかないわけであって、今後の見せ場を思うとかなり不安。基本的に能力を発揮したら投げっぱなしな本作で、最初から能力を発揮するキャラは死亡フラグともいえるし、凄さの説明も出来ないような能力に葛藤も糞もない、というかそのあたりは描かないことが副将戦で明らかになったわけで・・・どうするんだろうね。
で、その魔物属性を持つもう一人の打ち手、衣はまだドアをなんらかの力で豪快に開けたくらいしか力を発揮していない。あのシーンが15話ではいちばんよかった。ベタだけどまさに魔物って感じで「うわ、きた・・・」って感じにさせてくれた。実況が言ってたけど“全国最多得点数”ってのも魔物っぷりを出すにはいい履歴だと思った。同時に衣のいる地区決勝が全国決勝といえなくもない印象が全国大会への期待を少々すり減らすけど、それはまあテニプリ的能力者の集いでなんとかやってくれるでしょう。
それと面子に言及すると加地木はまさかのチャンカンで一矢報いたけれど、あれが最初で最後の活躍になっちゃう気がする。もう一人池田は聖母が「二人いるわ!」って心の中で叫んだ直後に「一人だけ!」と言い切らせたことで完全に死亡フラグ。たぶん咲と衣が魔物展開するなかで「ええー!」とか「はあー!」とか言う役なんだろう。清澄と龍門渕どちらが優勝するかはまだ判らないけど、他の二校はまずない。風越女子の顧問はどこいっちゃったんだろう。個人的に優勝する思いが一番強く感じられたのが風越女子だったので、顧問が消えてからの風越の悲壮感のなさはかなり残念。最下位なのにあんまり焦ってる風な感じがない。唯一顧問付きの高校だから部活動の厳しさというかそういった華やかではない部分を描くには恰好の対象だったはずなのに。池田は負けるだろうけど、その後の寂しさ、無念さをどう演出するのか。顧問消失がいい伏線になっているといいな。聖母の無念を思えば泣けそうな気さえするから池田が身をすり減らしてでも聖母の為に奮闘する姿を存分に描いてほしい。
ということで次回「結託」。
書き忘れたけど新OPもEDも好み。どちらも他校の露出が増えにぎやかになった印象。SD咲は相変わらず可愛くて、SDでさえも超巨乳として存在感を発揮する和はもうすげえとしかいいようがないw

- アーティスト: 宮永咲(植田佳奈),原村和(小清水亜美),片岡優希(釘宮理恵),染谷まこ(白石涼子),竹井久(伊藤静),畑亜貴,虹音,安藤高弘
- 出版社/メーカー: ランティス
- 発売日: 2009/05/27
- メディア: CD