2009年09月17日

【アニメ】Phantom〜Requiem for the Phantom〜24話「対峙」【感想】

なんとか25話OAに間に合った。
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粗筋

サイスの作りし演目は終幕を迎えようとしていた。エレンは玲二を守るために、キャルは玲二を殺すために、異なった玲二への想いが二人を直接対決に向かわせる。

次回へ。


感想

それぞれのヒロインの想いを掘り下げ、フィナーレの舞台を整えたという感じの1話でしたね。ほんとにどのヒロインもよくって、だからこそ生き死にをかけた過酷な選択を玲二は迫られました。冒頭からアインの問いに答えられなかったり、「もう誰も失いたくない、誰にも傷ついて欲しくないんだ」と、どこにでもいる優男のような煮え切らない態度をとる玲二には少々がっかりさせられました。でもまあ選択肢が選択肢なだけにこういった態度をとってしまうのは仕方ないことでもあります。ただ結局美緒までも巻き込んでしまった以上、腹を括らなければならない部分というのはあるわけで、全員が助かって丸く収めようなんて考えは甘えにしか聴こえません。“日本に帰ってきたこと“で玲二の考えが温くなりすぎているのは不幸な結末しか導き出せない気がします。まあ美緒の母とのシーンでなにやら気になる描写があったので、最強の暗殺者だったかつての姿を披露してくれると信じ期待したいと思います。


そんな玲二を想う三人のヒロイン。まずエレンは玲二との約束を破り単独でキャルとの対決に挑もうとしています。かつてサイスのもとにいた頃とは形態が異なりますが、それでも誰かに依存するというエレンの行動、思考は同じですよね。上で玲二の煮え切らない態度について辛口で述べましたが、エレンはきっとそんな人間的な考えが出来る玲二だからこそ憧れ、そしてここまで尽くせるのだと思います。今回の行動も“玲二に選択を迫るのは酷だからちょっくら直接対決してくるか”と玲二の気持ちを斟酌した独断専行でしょう。また美緒を必ず助けると留守電で断言したのも、多少美緒に友情を感じていたとしても玲二を思っての発言だろうと思いますし、美緒の前で自らをアインと名乗ったのも、偽名だったことを強調することで美緒に住む世界の違いや巻き込んでしまった責任は自分にあると暗に強調したんじゃないかと思います。そうでなきゃ因縁の名を今更出してくるとは思えません。兎も角、すべての行動が玲二のため、というエレンの言動は病的とさえ思える執着ですが、もとはといえばかつてサイスの命令に病的に従っていたのであって、縋れる相手がいてこそ自分を保てるという性格は変わっていませんね。異なるのは玲二を想うことで感情を身につけたということでしょう。今回最後の独白は感情満載で切実さと決意に溢れてました。同じような台詞を二幕最後に聴いたはずなのに、敬語にするだけでさらに重みが増してるような印象を受けますね。かつての無感動な兵器だったアインも私の中のサイス的見地から見ると最高によかったですが、こうやって心中を吐露するエレンも切なげで最高です。キャルに勝ったとしてエレンは故郷を見つけることができるのでしょうか。最後がどう締めくくられるか判りませんが、やはり最後は満点の笑顔が見たい。


一方、キャル。こちらも捨てがたい魅力を発揮してくれました。サイスによる怒りの扇動があったにせよなかったにせよ(個人的にはサイスの言う通り本当になかったように思う)、殺したいと思うほどにまで憎めるのも一つの愛の裏返しですね。方向性の違いはあれど、二幕で玲二をあれだけ慕ったキャルの玲二を想う気持ちはエレンと肩を並べるほどだと思います。こんなかたちでしか玲二への想いを発散できないほどキャルを可哀相なひねくれ者にさせたのは玲二なのですが、美緒暴行後のキャルの呻きからは二幕同様の玲二への想いが伝わってきました。キャルは美緒のお嬢様理論に苛立ち「私の苦しみは他人とは違う」ということを主張したかったと思うのですが、冷静になってみて美緒の発言にほとんど図星だったことに気付いたのでしょう。もしここでエレンにではなく玲二に電話をかけていたら話し合いで解決したかもしれませんね。美緒に対して悲観的に語るキャルの姿からはそれまでの憎しみだけで突き進む印象はまったく受けませんでしたし。ただファントムにそれは許されるわけもなく、キャルはエレンとの対決を決意したようです。「終わらせてやるよ、何もかも」という言葉には自棄とはまたちょっと違った悲愴の決意が伺えました。正直本作の中でこれだけ破滅エンドが似合うキャラもいないな、という感はありますが・・・たった一つの勘違いがキャルを暗殺者へ変え、自らを滅ぼすと考えると、二幕のキャルを見てしまったことを後悔させられるくらい悲しいです。


そしてここへきてかなりの存在感を発揮した美緒。今回のように向こう見ずに突っ走る子って応援したくなっちゃいますね。ここまでさんざエレンだキャルだいってきたのに、美緒も好みで困りました。「悲しい思いをしていたのはあなただけじゃない」「あの人の為だったらなんだって出来ます」。三幕から登場のキャラにここまで言わせるのは尺的に酷でしたが、それでも充分に切実さが詰まっていたと思います。顔アップなどの演出も効果的でした。また美緒とアインやキャルに割いた尺の差が歴然なのは事実なので、美緒にこう言わせたことで対比的にキャルやアインの言葉が重々しく聴こえたのもよかったです。正直美緒はここで退場でいいですね。アイン、キャルは兎も角、美緒に死なれたらたまらないですよ。耐性がありません。リズィも堅気を巻き込んじゃいけねえといっていたし、梧桐海典もなんの縁もないっていってるので流れ弾とか勘弁して下さい。


まあそんなこんなであと2話となってしまいました。誰が死のうが悲しいことには変わりないので腹括って見守るしかありません。ただこの二人の決着が本作の終幕ではないんはず・・・。三幕に入ってからは生死をかけた愛憎劇、といった感じの本作ですがそれすらも見据えつつ虎視淡々とフィナーレに備えるサイスが素敵変態すぎます。この男が最後どう絡んでくるか、どう死ぬかで本作の評価は決まるでしょう。最近ファントムエフェクトもとんと姿を見せないので残りの2話はアクションシーンにも期待したいですね。




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