2009年09月27日

【アニメ】Phantom〜Requiem for the Phantom〜26話「江漣」【感想】

エレンの物語であり、それでいてやはり鎮魂歌は玲二へ向けたものであったと思う。
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粗筋

サイスを撃ち、玲二と共に歩む。エレンのその決心が銃口をサイスに向けさせる。
だがしかし例えサイスを撃とうとも、彼らに平穏な幸せが訪れるとは限らない。



感想

更新遅れました。出来ればOA後の勢いで書きたかったんですが金曜忙しすぎました。
OAから三日経ち、木曜深夜の興奮はひと段落したものの何度見てもいい最終回だったと感じます。2クール、およそ半年もの間惚れこんだ作品でしたが、どんな良作でもやはり最終回はその作品の良し悪しの判断において比重大きいですからね。むしろ序盤中盤いいと最終回が駄目だったとき逆にげんなりする、なんて多々あることです。まあそれでも本作においてはおそるおそるというよりは、やはり期待のほうが大きかったのは間違いありません。

さて、約30分の最終回。大きく三つの流れがあったと思います。まずエレンと玲二それぞれのバトルシーン、そしてエレンとサイス、最後にモンゴルへ、という感じでした。個人的に予想よりずっと盛り沢山な内容で、贅沢な時間を過ごした気分でしたね。今回は上記三つの流れに沿って感想を記したいと思います。

まずエレンとレイジのファントムとしての最後の見せ場とも言うべくアクションシーン。前回記事にも書いたとおり、エレンのかっこいいシーン及びファントムエフェクトにはかなり期待していたのですが、期待以上のシーン尽くしでなんだか逆に鳥肌立っちゃいました。冒頭玲二がどろっと濁った目を開いたときのシュッってSEとか何度見てもうひょぉって感じですね。そしてBGMがこれまた素晴らしい。1幕でよくミッションのシーンに使われていた曲(サントラvol.1:6曲目)を彷彿とさせるスピード感で、玲二の「俺は殺すry」という台詞効果もあり1話始まりの盛り上がりが俄かに蘇りますね。そして続けざまエレンのファントムエフェクト! のっけからいきなりこりゃたまらん! と一人盛り上がってしまいました。それとノインだかフェンフだか判断できませんが、量産ファントム一人をエレンと玲二で挟み討ちにしたところも1話のミッションシーンに似ていましたね。重厚なBGMがSEのスピード感をより際立たせていて、兎に角わくわく。それと機関銃の連射SEがなんだかいつも以上に荒れ狂っているというか実写映画ばりの迫力を感じ、当然ですが当たったらいてえだろうなあなんて思いました笑 そしてそしてエレンファンにとって嬉しすぎたゼクス・ズィーベとのナイフ戦。エレン強すぎる、かっこよすぎる。このナイフ戦も1話でのアイン対ツヴァイを思い出させますね。しかし流石本気のエレンは一味もふた味違うという感じでフィクション、もといアニメの鑑ともいえる超運動能力を発揮。1話からずっと追ってきた視聴者でさえ、まさかこれほどとはと思わざるを得ないバトルシーンだったのではないでしょうか笑 制服ってのがまたなんだかいい。一方の玲二はエレンより数段苦戦していた様子でした。ブルドーザーや機関銃など音やスケール的な迫力はエレンのバトルシーンを凌いでいましたが、再び目の演出やファントムエフェクトがあったくらいで、エレンほどの強さというものは見られずといった印象でした。キャルの懐中時計を利用したあたり(遠隔操作の仕組みは永遠に謎だろう笑)、最後の最後キャルに花を持たせたという感じでしょうか。なんとなくスタッフのキャルへの気配りが垣間見えたようなシーンでしたね。さて、そんなこんなで玲二の「最後まで頼って済まない」という台詞を最後にバトルシーンは見納めでした。今回に限ったことではありませんが、本作のアクション・ミッションシーンは本当にBGMとSEが効果的でしたね。ときにギャグではないのかとも思える演出の数々はやはり真下監督という感じでオサレで癖になります笑 まさに真下監督だから、ビィートレインだから出来たバトルシーンという感じで本当に楽しませてもらいました。
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続いて微妙に時系列前後しますが、「ようこそ、私の舞台へ」というサイスの台詞から始まったエレンとサイス、最後の対峙シーン。おおよその視聴者の望みどおりサイスは死んだわけですが・・・。個人的には悔しくもサイスの完全勝利にしか見えませんでしたね。それはそれでなんだか嬉しくもあるのがサイスの敵役としてのカリスマ性の証明でもあると思うのですが。なによりサイスのテーマなのかは判りませんがBGMがかっこよすぎます。壮大且つ毒々しいメロディがいっちょ前にサイスのラスボスとしての立場を揺るぎないものにしていたようで、どうしてお前そんなに悠然としてやがる! という感じでした。結局、エレンがどう足掻こうがサイスの前ではただの舞台での演出にすぎないわけですね。エレンは玲二と生活したことで“憎しみ”という感情を芽生えさせ、自分の意志を持つようになりました。このあたりのサイスとエレンの会話を訊いて、やはり本作はエレンの為の物語だったんだなあと改めて思わされました。そしてやはりサイスはアインのことを判り切っていて気持のいいくらいアインの弱点を突いてくる行動にはまさに敵ながらあっぱれでした。しかしそれはアインの弱点であってエレンとなってからの精神的な動きは見過ごしていたようです。まあこういう流れは最終回にはよくあるもので、当然ながらサイスざまあという流れになるのかと思いきや、私が思った以上にサイスは変態で芸術家でした。芸術家には奇人が多いといいますが、まさに彼もその一人でしたね。エレンや玲二、ドライは本当に最後まで彼の描いた脚本によって弄ばれ、やっとのことでエレンが反旗を翻すも、それさえ「ミューズ神の悪戯」と言ったように芸術の一端として受け止められてしまったようです。愛娘の予想外の行動でなんとも幸福そうな最期を迎えたサイスはやはり完全勝利でしょう。一幕最後のツヴァイからの逃亡シーンとは違い、一切足掻かなかったことはサイスを敵として見ると悔しいですが、私は内心研究者、芸術家としてのサイスをいたく気に入っていたので、彼らしい死に方に満足です。むしろサイスがサイスのまま死んだことでファントムたちの虚しさが浮き彫りになり、本作に相応しい余韻を残しましたように思いますね。
またエレンがサイスに送った別れの言葉からも判るとおり、彼女もサイスとは切りたくとも切れぬ縁だということを自覚していたのでしょう。どんなに玲二と素晴らしい思い出を蓄えようとも、彼女にとって原始の確固たる記憶はアインの頃のものであり、そしてそれは一生消えません。彼女が流した涙は憎しみという意志で人を殺すことの辛さを物語っているようでした。暗殺者的見地からすればこれは退化ともいえるこの衝動、はたしてエレンにとって意志を持つことは正しい選択だったのか、その答えは玲二にかかっています。玲二がエレンにサイスを殺させたことは、彼がサイスの書いた脚本を引き継ぐ決意をしたと同義だったのではないでしょうか。
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そして6ヶ月後、彼らが訪れたのはモンゴル。やはりモンゴルが〆の舞台でしたか。色々と唐突且つ謎の残るエンディングでしたね。賛否両論も止む無し、と言いたげなある意味投げっぱなしともとれるこの締め方、個人的には最高でした。なんというか、涎が出るくらい嬉しいこの鬱感。勿論玲二が死んだことはエレンにとっても私にとっても悲しいことです。が、敢えて言いたい“よく玲二を死なせた”と。一介の観光客であった玲二が訳の判らぬまま暗殺者にさせられ、数え切れぬほどたくさんのものを人を失い、その暗闇の中からようやっと見つけた生きるための希望を見つけ、そしてやっと辿りつき、それでもまだ彼女の本当の笑顔を見るまでが約束だと自覚した矢先にピチュンですよ。・・・・・・このやるせなさがたまらないですね。しかも玲二が倒れた次の瞬間、エレンが本当の笑顔を見せるという鬼畜とも言うべくシナリオ。結局玲二は約束を果たしたがそれを見ることなく逝ってしまった。なんという報われなさ。誰が撃ったのか、エレンはその後どうなったのか、勿論気になりますが、それでも玲二が死んだという事実だけでお腹いっぱいです。また一方で玲二が死んだことで真に不幸なのは誰なのか、考えるまでもなくエレンでしょう。彩陽さんはほんと声色が豊富でした。最後の玲二への語りかけや独白はこれまでのエレンとは違い、切なさを残しつつもどこか清々しくもある声でした。無感情だったエレンからの変遷を見てきただけにほんとうにやり切ったんだなあと思わされましたね。しかしそれでも報われない。苦渋の決断でサイスを撃ち、そして今から玲二と新しい人生を歩み始めようと思った矢先、相方の死。エレンの不幸属がたまらなく愛おしい。もし暗殺者は一生幸せになどなれぬとしたら、いっそ死んでしまったほうがマシなのかもしれません。でもそんな中で必死に幸せを求め続けた彼らのこれまでは美しく、また果てしなく切ないものでした。そんなことを百も承知で、それでも最後まで彼らに幸せを与えないこの悪魔のような最終話。こういう最後を喜ぶ自分ってどうなのかとも思いますが、もともと作品全体を覆う鬱感に惹かれた作品だったので、涙が出るくらい嬉しいバッドエンドでした。こればかりは好みとしかいいようがありません、ほんとに最高でした。
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さて、そんなこんなでついに終わってしまいました。とりあえずエレン最高! で見始めた本作でしたが、最後まで本当に最高でした笑 総括をこのまま書こうかと思ったけど、まあこれまでも他作品に比べて長々書いてきたしいいかなと笑 とりあえずDVDマラソンがまだ半年も続くしピクドラの感想も書こうと思っているので、何か新たに思うことあればそちらに書きます。大してアクセスが多くない私のブログなのですが、本作のページは飛びぬけてアクセスが多く、また刺激的なコメントを頂いたり半年間とても楽しく感想書かさせていただきました。不満を言うとしたら放送日と販売メディアがDVDであることですね。「けいおん!」と被り「大正野球娘。」と被り、何故木曜激戦区にかちこんできたのかと笑 まあテレ東の策略かどうか判りませんが初回放送時間がズレたのは個人的にラッキーでした。話逸れますが次期のこの木曜深夜枠は再びレイトショー枠になるのでしょうか。あにゃまる探偵密かに期待です。そういえばラジオもどうやら最終回らしいですね、これから訊きます。それと原作もやらなくては。兎も角ビィートレインをはじめ制作に携わったスタッフさん、キャストの皆さん、本当に御疲れ様でした! 真下監督の次回作も大いに期待しております!







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追記:笑えるくらいTB飛びませぬ・・・ぐぬぬ。
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