感想
ある日学校でのいち風景。「お弁当箱かわいいよねえ」と相変わらず異端な美的センスを示すリムに「ははっ・・・」とリコが呆れていると、明らかに元気のないクラスメイト粟飯原ゆかりちゃんの姿が目に映る。「どうしたのおなかでも痛いの?」と訊ねるリコの手元には、3話でママンが買ってきたマトリョーシカのお弁当箱が積み重ねられており、センスが判らんなどなんやかや言いながらも使っているリコが愛らしいですね。そのしょんぼりしているゆかりちゃんは別におなかが痛いわけではなく、どうやら愛猫のまろちゃんが失踪したことに凹んでいるらしい。警察には届けたけど忙しくて手が回らないらしい、という報告を訊いたリコは「ダメダメじゃん!」と小学5年生ながら国家権力にダメ出し。そんな勇ましいリコはリムとまろちゃん捜しの役を買って出ることになりました。あにゃまる探偵団の初仕事です。ちなみに日本の警察は迷子の動物を捜してくれません。法律的に動物はモノですので、遺失物として届いている可能性はなきにしもあらずですが、動物を捜すならまず保健所へ連絡しましょう。
放課後、早速捜索を開始するために現場へ向かうリコム。まろの臭いが付いているからということでクマのぬいぐるみを預かってきた二人。予想通りというかなんというか、やっぱりリムがそのぬいぐるみを持たされています笑 まあリムはビン底眼鏡をかけているわりには別に秀才キャラというわけでもなく、ボケを主軸に癒し系路線を走っているキャラなので、こういう割りを食うポジションなのでしょう! 逆にリコは運動神経抜群の活発キャラで脳味噌まで筋肉かと思われがちですが、意外や意外、頭キレますね。今回も「今日の夕方から冷え込むらしいから捜索は急を要する」「キルミンしたときに本名で呼び合うのはマズいから偽名を使おう」など勉強のほうは判りませんが、生きていくうえで有効と思われる小賢しさがあります。ということでリコの独断と偏見で創出された二人のコードネームは「キャサリン」と「ぴょん」。それをきいたリムがこれまた癒し系の鑑で「リコばかりお洒落じゃない?」と不満をこぼすも「いいから行くよー!」とあくまで勢いで押し切ろうとするリコを見て「OKキャサリン♪」と結局甘受します。ほんといいコンビだね。
ということでキルミンし、捜査を開始した二人。臭いを辿ろうとするもネコに変身しないと難しいかもとのっけから躓きます。またリコはスズメ(リムによるとオダカかもしれないとのこと)を捕食しようとしたり、突然現れたイヌから逃げたりてんやわんや。より動物っぽくなったリコはやっぱり可愛い。「脚濡れたにゃにゃにゃにゃー」と騒ぐシーンも最高でした。キルミン時のカットとSEはマッチングは毎度秀逸ですね〜。ぽにぽに音がたまらんです。そんなハイテンションな捜査は、途中ちょうど夕食の買い物で通りがかったぽち姉(ナギサのこと。リコ命名)もメンバーに加えてまだまだ続きます。ちなみにナギサは新しい私服を披露。あずき色のロングスカートに白のブラウスとうすいピンクのカーディガン、それと黄色と赤茶色のリボンというなんかチョゴリっぽいデザインに少々びびりましたが、似合っていたので良しとしよう。今後もどんどん衣装変えてほしいですね。
一方カノンとケンは芋虫みたいな色のモノレールに乗って二人きりでお出かけ。目的地は神浜市のとあるドブ川(ジンリュウ川)。なんでもカノン母が率いる牙組とタマオ父率いる市の職員とで水質調査をやるらしく、それの手伝いとのこと。モノレール内では見かけなかったタマオもちゃっかりあにゃまる調査団に参加。彼は父と一緒に来たんでしょうか。市長の息子ともなると車でお出迎えか! まったく環境環境いうのなら電車を使いなさいよってタマオを責めたって仕方がありませんね。実際タマオは市長の息子というポジションでありながらそれを鼻にかけた風でもなく、お勉強もしっかりやっているようで良い子なのは間違いありません。それに比べて大人はどうよ・・・。使える人間の息子に接近しろだの、他人の妻に頬を赤らめる市長だの、非常に不埒です笑 このダーティな描写をどこまで膨らませてくるかにはちょっと期待していますがね。
そんな中で特に面白かったのがアニマリアンたちの描写。ミサには今回の水質調査と並んで、市の女子職員をアニマリアンたちに惚れさせる目的もあったようで、アニマリアンたちは女子職員のサポートとして活躍します。てかまず女子職員はジャージかなんかで来るべきでしたね。これが公務員体質ってやつなのですか、河森先生。でまあ、とりあえず暴走気味のアニマリアンたち。こいつら常時動物の本能のほうが理性を凌駕しています。カバ夫君は川の水を飲んだり水草を食んだり本能のあるがまま。ちなみにこいつ、調査が終わってもずっと水の中にいてその図が最高に笑えました笑 もう一人の青いスカーフを巻いている奴はぱっと見なんの動物か判りませんが、「いつかあなたの水質調査をさせていただきたい〜」と本能的とか理性的とか関係なくアブナイ発言をかましており、こんなやつらに任せて本当にミサのプロジェクトはうまくいくのか、かなり先行き不透明感が漂っています。またそんな牙組を指揮するミサもやっぱりどこか抜けていて、カノンの婿選びについて母子喧嘩を勃発させます。ミサたちが敵なのかまだ定かじゃありませんがカノンは決して母のいいなりになるわけじゃないということを示せていたので、この描写は個人的に評価したいですね。
そんな母子喧嘩を余所目に、ケンが河原の石で水切りをしていると対岸の土手上にリコムらを発見。明らかに退屈していたっぽいケンはしょんべんを口実に河原から脱出し、リコムたちと合流。探偵団はまろの臭いを頼りにここまで来たわけですが、彼女らには入ることのできない排水管の前で立ち往生していたので、このネズミ小僧の登場はもってこいでした。このあたりの説明を省略した見せ方はスムーズで巧かったですね。それとケンとリコのやりとりはやっぱ面白い。特にケンがくしゃみの拍子でヌグミンしてしまったときのリコの「どぉぅにかしてよ、ほんとにぃ」と「ハッ、へーぼネズミ!」はなにこのリアルな口調って感じでM属性がくすぐられました。またそれを追ってきたカノンもこれまたかわゆえ。「そぅ。よかったねぇ」・・・なんだこのロリなのに色香を醸す声は! コウモリ、いや吸血鬼っぽいミステリアスな感じが丹下さんぴったりハマってます。ちなみにカノンは探偵団をみて「中途半端なアニマリアン」と評していたことからキルミンの存在、それからキルミンから動物に変身できることについては善意のようですね。母ミサはキルミンをみてニヤリと厭な笑みを浮かべていましたが。
さて、まだまだ続く探偵団のお仕事。といっても草むらに入ってからまともに仕事を続けたのは忠犬ぽち姉くらいなもんで、リコは虫とじゃれあい、リムはムクドリやシメを見つけのほほんとしていました。リムは鳥が好きなんですね。え、だからタマオに気があるような素ぶりをって考えすぎか・・・まだ5話だもんね、慌てず行こうよ。と道草食いまくりの探偵団。しかしそんなリコのネコ的本能による道草が、まろを見つける最大の要因になろうとは、このときまだ誰も思っていませんでした(大袈裟。 ゆらゆら揺れる光の反射を追っかけたり、カラーコーンにスリスリしたりネコ的好奇心が収まらないリコも、日が暮れ始めてからは寒さを感じるようになり、夕焼けがあたる屋根の上に避難。するとそこには居眠りしてるまろが。ついについに見つけました! という感じではなく、夕焼けの光を受けて赤く霞がかった情景やまったり感あふれるプレリュードのようなBGMに、ここまでさんざ騒いできた探偵団のお疲れな感じが出ていて素敵な演出でした。最後も「まろは冒険家のようだからたまには外で遊んであげてね、きっと面白いことが見つかるよ」と道徳の教科書に出てきそうな〆で「探偵ファイル#1 まろ失踪事件」は解決。
今回も特別派手なところはないけれど、手堅くきっちりと作り込まれたものを見せてもらいました。脚本は河森氏、絵コンテ佐川氏、演出福田貴之氏、作監は3名(相澤氏、うえだ氏、熊谷氏)でした。制作はクレジット見る限りJMとハルの合作みたいですが、エンクレ見てもどこにJMが入っているのかよく判らないです。だれか教えてください!
次回は「恋のキューピッド作戦!?」です。予告でリコが「キルミンするたびにネコっぽくなっていく気がする」というある意味今後の方向性を示すかのような台詞が飛び出しました。本作の場合、キルミンが逆進化論序説とやらに則って作られたものだとすれば、動物化することは退化ではないんですよね。本作が霊長類の長とも言われる人類の(まあ人類しか言ってないんだけど)更なる進化の方向性を示そうとしているのだとしたら、どういったところが“進化”なのかはかなり気になるところです。
「あにゃまる探偵キルミンずぅ」オープニング&エンディング主題歌(仮)
- アーティスト:
- 出版社/メーカー: キングレコード(株)
- 発売日: 2009/12/23
- メディア: CD