2009年11月10日

【アニメ】青い文学シリーズ 5話 桜の森の満開の下 前編【感想】

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感想

すっごいアニメアニメしててよかった、というのが第一印象。冒頭の旅人のスーパーサイヤ人とか「桜こえーよ!」など前回までの人間失格との温度差におよよ、と思わざるを得ないぶっこわれっぷり、作品ごとの色が明快でいいですね。特に気に入ったのが昭和風なチープな演奏に合わせてタイトルが出て「桜の花びらが咲くと・・・ry」と繁丸がドアップで喋るカット。テロップの出し方が習字風のフォントで英語の注釈が付いていたのも昭和の映画みたいでなんかそそられました。OPも歌詞付きかよっ! ってね笑

人間失格もそうですが、本作の原作も「桜が怖い」をはじめ(現代においては)概念的な内容が多分に含まれていて、明確に「こうだ!」という解釈は不可能なものであると勝手に思っていますが、だからこそ制作者(主に監督かな)の意向がアニメーションにどう反映されてくるか、というのは「青い文学シリーズ」のとても楽しみなポイントですね。で、今回の「桜の森の満開の下」を指揮する監督は荒木哲郎氏。まあ代表作といえばデスノになるのでしょうが、個人的には黒塚のほうが好きで、あれも本作と同様に小説原作作品でした。文字のアニメ化は漫画原作よりも自由度が高かろうと思いますし、そこには必ず監督の色がつくと思います。なのでそういった意味で今回はかなり期待してたのですが・・・いや素晴らしいね。

まず時代背景だのなんだの細かなことを感じさせない破茶滅茶な設定。7人の女房の中に外国人を混ぜたり、千代の目が眼鏡を外すと3になったり、繁丸がポータブル音楽再生機器を使ってたりと突っ込みどころは満載で、序盤にして「常識で推し量ることはできない云わばなんでもアリ」な感じを見せつけたのは、後半繁丸が女房たちを斬り殺すシーンの不条理さを受け入れさせるにかなりの効果を発揮したんじゃないでしょうか。

その女房たちを斬り殺すシーンは、ミュージカル仕立てで残酷非道な殺戮をぼかしたかたちでしたが、いやー痺れさせてくれる演出でした。「お前が可愛いから女房にしたい/それなら他の女を殺しておくれ/あいわかった」とあまりにも短絡過ぎて逆に意図不明に7人の女房達は殺されたわけですが、あんだけ華やかな殺され方をすれば女房たちもきっと天国で喜んでいるでしょうね(んなわけない)。彰子の亭主を殺すシーンの斬り方、血の飛び散り方もとてもよかったですが、このシーンは敢えて血を飛ばさず、生首も人形にするなどかなり個性的な演出でした。またバックで流れる優雅な「うしろの正面だあれ」と対比的に美女の狂気に攫われた繁丸の表情、それに追い詰められた女房の表情はとても切迫していて引き込まれる魅力を感じました。うーむ荒木監督作品の人殺しシーンはほんと中毒性高いなあ。

役者さんについては、やはり前回までの葉蔵のなよっとした演技がハマりにハマっていただけに、堺さんの繁丸には違和感を覚えざるを得なかったですが、それも序盤までだったかなあ。水樹さん演じた彰子は予期せぬSDが可愛かったことももあってコミカルな演技が特によかったです。繁丸との掛け合いも面白かったですね、主につくしが。それから川田さんの声をアニメで聴いたのはほんと久々でしたが、なんというか流石としかいいようがない感じでしたね。

つーことで次回後編。前編を森の中だけで構成してくるとは思いませんでしたが、今回を見る限りうまくまとめてくれるでしょう。ほんとどんな演出で次回が描かれるのか楽しみですね!



written by 亨太朗21:01 | Comment(0) | TrackBack(0) | 青い文学シリーズ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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