感想
「えぇぇぇぇぇ! ハジメがあらしに振られた・・・笑」
前回の重っくるしい雰囲気を跳ね飛ばすカヤのギャグ性の高さ、侮ることなかれ。彼女にしてみればギャグじゃないんだろうけど、中の人、めっちゃギャグにしてますよw
この場面ひとつとってみても実に面白い。これが私の求めた「夏のあらし!」だ。敢えて突き放したような辛い言葉を発するカヤ、加奈子。ここまで見ていれば誰だってこれが優しさの裏返しだということは判るでしょう。そして「私の好きな曲なのよ」とBGMのボリュームをあげるマスター。彼女のこういったさりげない心遣いが痺れるくらい好きです。
ストーリーの本筋は、ハジメは一度同い年のあらしと会い同じ目線で物事をみてみるべし、というやよゐの提案で過去にタイムトリップする、というもの。
過去に飛び、まず一行はあらしの邸宅に向かいますが、ハジメはその大きさに委縮。加奈子やグラサンには怖気づいたかとひどい言われようでしたが、そらあの家を見たら誰だってビビるでしょうw 価値観もしきたりも全然違う時代にポンときて大豪邸になんて言って入っていけばいいんだ。加奈子ややよゐは自分たちの時代だし、グラサンは職業柄そういうのに慣れているのかもしれないが、一介のちょっとばかし男気に溢れるハジメにとって相当高いハードルでしたね。それと思ったのが、グラサンの迷彩服は思想的に大丈夫なのか? ただでさえ体が外国人ばりにデカく、サングラスまでかけているっていうのに笑 憲兵に見つかってたらあらしの過去どころじゃなかったかもしれませんね。それから大邸宅の前で「失禁」を連呼するなw
そんな尻込みするハジメの前に白馬に乗って颯爽と現れた同い年のあらし。いやー幼あらし可愛かったですな。現在のあらしよりだいぶ丸顔だけど目の大きさは同じなので、顔における目の占有率が大きく、そのおかげで幼さを感じられました。白石さんの現在のあらしとの演じ分けもよかった。
そのあらしお嬢様は喧嘩へ向かうところだったそうで、その対象は帝国陸軍大尉の息子、指きりヤマが取り仕切る悪ガキ連中の集まる“暗闇団”。のちにあらしの兄麟太郎の説明書きに海軍と出ていたから、その辺の陸海の対立もあったのでしょう。1940年の夏ならば第2次近衛内閣ですね。陸軍大臣に東条英機。
あらしと同い年ということで強気に出るハジメですが、喧嘩の加勢として手渡された木刀と弓を見て喧嘩の規模の違いを実感。ただいざ現場に出てしまうとハジメの男らしさは加速。あらし宅の門前で尻込みしていたときのハジメとは一切の決別をし、敢然とヤマに立ち向かう彼に男気を感じぬわけがない。単純明快勧善懲悪。
その後、住んでいる場所も名前も言わず、「70年後くらいにまた会える」と突っぱねるハジメに再会することの証とでもいうべく眼鏡を借りるあらし。そのお返しにハジメの頬にキスをするあらし。女を立てるハジメの性格ではいつの時代のあらしに出会っても彼女に主導権を握られるでしょうね。
その後現代へ帰ってきたハジメ。ハジメとしてはあらしにしっかりと惚れさせた、ということで決着がついたのかもしれないが、それではあらしの気持ちはどうなる? しかしここは伏線としてハジメたちとは別に過去へ飛んでいた潤・カヤのコンビが穴埋め。彼女らは過去へ行き、あらしが大切にしていたという箱を取りに行っていたのだった。
いやーここも素晴らしいシーンでした。カヤさんのあらしを優しく、それでも真実を見極めよというような問いただし方が美しく切ない。「私は少し違うと感じていた」のシーンの一枚絵の美しさ。「あらし、あなたもう恋をしていたのではなくて?」というときのカヤの声の静かながら強さを持つ喋り方。本当に泣きたくなります。あと驚きだったのはハジメの眼鏡だと確信に至るファクターが美少女戦士回で出来た傷だったこと。あの単発ギャグ回がここで影響を及ぼしてくるとはね笑
結局再び通じることが出来た二人。その二人を祝福するような喫茶方舟のメンバーたち。その中には潤もしっかり含まれるのだが、彼女が自分の恋心と葛藤するストーリーが必要になってくることは簡単に想像がつく。そのときは今よりももっと“あらしたちは死んでいる”という事実が重くのしかかってくるでしょう。おそらく2期シリーズでは見ることが出来ないだろうけど、いずれ機会があれば見てみたいですね。
ところでマスターは今日一日、あさりに砂をはかせず何をしていたのだろう。きっとあさりのことなど忘れてしまうくらいにハジメとあらしのことが心配だったんだろうね。綺麗な終わり方でした。