感想
スコヴィル値ってなんぞと思ってWikiを見てみました。なんでも1912年にウィルバー・スコヴィルというアメリカの農学博士が考えた辛さの度合いを表すものらしいのですが、辛いもの好きの人にとってはもしかして有名なものなのでしょうか?
ともかくハジメがいっていたようにハバネロが三十万スコヴィル。ある容量のハバネロに対し三十万倍の砂糖水で薄めると辛味を感じなくなる辛さらしい(詳しくはWikiを)。
じゃあハジメのキゥイ爆弾(キューティーキゥイちゃん)の二百万スコヴィルってすっげえ辛いじゃん! というのはハバネロを食べたことがある人なら感覚的に判るでしょうが、Wikiをみるとこんなの全然辛くないじゃん! と思えてしまう数字の不思議。というのもWikiの一覧表のトップに名を馳せます「ブレアズ・16ミリオン・リザーブ 」というガードナー・リソースィズ社の製品は、なんと千六百万スコヴィル! 「Don't fear death...」辛いものが苦手な私としては、このコピーはジョークとして捉えることが出来ない笑 警察官用トウガラシスプレィが五百三十万スコヴィルというのだから、その三倍の辛さのものが普通に商品として売られていることに、些か驚きを隠せない。
「凄い......テクニックがテクノロジィを凌駕している!」
食べ物の恨みは恐ろしいということでカヤも参戦のキゥイ爆弾祭。彼女が未だ小学生のような純粋さでセロハンテープの絶対性を信じているようすがいじらしいですね。前回のチェリーより随分手抜きに見えるキゥイを手放しで褒める潤のノリの良さも、このコンビほんと息合ってるなあと思わせてくれます。コメディの部分だけ取り出してみれば、今期はあらし&ハジメのコンビよりも冴えていた気がしますね。特にカヤは全体的に大きな持ち場がなかったことが幸いしたのか、あらゆる面で非常にのびのびやっていたように見えました。動けば動くほど喋れば喋るほど、どんどん魅力が増していく愉快さが魅力的。
一方、今期からメインとなって方舟のメンバーになった加奈子&やよゐは分不相応にコメディを押し付けられちゃったかなあという印象。どちらも魅力的すぎるキャラクターには違いないのだけど料理コント、活動写真コント等「狙ってます」というギャグを詰め込まれすぎて少々窮屈だったように思えます。特に料理コントは本編中に食いこんできていることからその影響は大きく、やよゐの料理を説明する台詞がシーンを間延びさせたことは一度や二度じゃないでしょう。ただやっぱり彼女らの面白さのポテンシャルは相当なもので、形式コントの型をとっぱらった会話や仕草は今期再三でてきた加奈子の漬物ネタ一つとってみても充分に面白かった。最終回の高倉健に歓喜する二人は爆笑モノで「健さんに汗を拭いてもらわないと」と、そろそろと歩くやよゐのチャーミングさは格別でした。
まあ個人的に不評だった料理コントも最終回でようやく実を結んだというか、まさかそれを中心に話が組み立てられているとは思いませんで、あっぱれ。「『緑なす』というくらいだから緑色の茄子じゃないかしら」って自分でいっておいて意味が判らないって、やよゐの自由度は限界を感じさせませんな笑 良くも悪くも、やよゐ&加奈子の扱い方に振り回された部分が2期では目立った気がします。ちなみにわさびは辛さを感じるメカニズムがとうがらしの類とは異なるためスコヴィル値では測定不能みたいです。
そしてそして2期最後を飾るCパート。10話の約束を間接キスで〆てくるあたりが粋でしたね。「歴史や運命は変えられるか」という命題に常人以上に敏感なのは、過去に飛ぶことのできる彼らだからこそではありますが、本作で大事なのはそういうファンタジーな部分じゃなくて、至極現実的に考えて物事に向かう姿勢であるということ。
「自分の知らない時間を前に向かって進んでいることに変わりはなくて、先のことがどうなるか結局のところ判らない。だからこそ、歴史や運命が決まっていようと努力をあきらめちゃいけないんじゃないかなって」
もちろんこんな青臭いことを常々考えて生きていたらすぐに精神が摩耗してしまうでしょうね。でもこういう一読してみれば当たり前じゃんと思える純粋な部分をもっと大切にしていきたいと、本作をみて思わされました。何事も姿勢です。そんなふうに過ごしていれば、きっとあらしさんのように「今日も一日面白かったなあ」と思える生活が待っているのかもしれません。
さてさてそんなこんなであっという間に3ヶ月が経ち、2期も終わってしまいました。
ストーリーとコメディのバランスのよさに期待していただけに、ほとんど無為に過ぎていった中盤の単発ギャグ回が惜しい。まさに投げやりな新房ライズ〜♪ まあ終盤は見事に盛り返したから全体をみればそこまで悪くはない気がするけどね。でも1期で感じた漲るパワーは少し物足りなかった気がする。ただやっぱり絵がすごく好きだし、キャラとキャストの噛み合い方も素晴らしくマッチしている作品だと思うのでDVD買います。そして当然のように3期に期待しますが、ひとまず制作スタッフおよび関係者の皆様方お疲れ様でした。小林先生のエンドカードの皆の笑顔がまぶしすぎます!