そういえば、一瞬に等しい僅かな時間だけどナギサのキルミンフォーゼシーンが!
これまで各々自由に探究心のあるがままに活動してきたメインキャラたちですが、先達て組織としての探偵団を結成することに。のびのびとした自由なキャラたちが作りだす無邪気なストーリーが魅力の本作、ここへきての明確な組織活動が吉と出るか凶とでるか。注目の1話。
これまでも探偵“ごっこ”レヴェルの活動はしてきたことだし、何も探偵団を作る必要はないんじゃないか、なんて危惧も若干ありましたが、なかなか悪くないですね、神浜キルミンズ。
巧いなあと思わされたのが、今回団を旗揚げする際に母親ハルカの許可制にしたこと。なんだって組織化すると各種フォーマットに従い縛りが出来て窮屈になりがちですが、今回はむしろ母親が最初の立ち上げ時に介入することで、キルミンズ団員たちに考えさせ、結果彼女たちはしっかりとした道標を得ることが出来ました。前回までのノリで子供たちに自由に駆け廻らせていたら、キルミンに頼りすぎていたということに気づくこともなかっただろうから、彼女たちに探偵団としての自覚を芽生えさせる、ということに関してハルカママンは優れた宿題を出したなと感心しました。
それから今回、前回のリコに続き、ぽち姉も動物と意思疎通する片鱗を見せました。リコにもあれくらいはっきりと映像ととしてイメージ出来ていたのか、それともナギサのほうがよりはっきりイヌの気持ちが判ったのか、程度の差は判りませんが美術的なセンスの差は歴然でした笑 今のところ同じ動物としか通じ合っていないけれど、いずれハルカのように色んな動物の気持ちが判るようになるんでしょうか。
またもっとも本作らしいなと思えたのがハイテク技術を使っての問題解決。仕組み的には映像を映写機で流すという判りやすいものでしたが、単純に画像をスライドショーで流すというだけでなく、モーションキャプチャを使って映像にしちゃうあたりが、現代らしいというか河森氏原案らしいというか、子供向け作品にしては目新しい切り口だったんじゃないでしょうか。携帯とPCの更なる進化系みたいなポータブル機器を自在に操ったり、自室にどでかいサーバーのような機器を設置しているタマオは他キャラに比べ地味ではありますが、彼こそ河森氏の考える現代の、次世代のこども像なのかもしれませんね。
またそれと同時に、今回の問題解決にあたってはハイテク機器の限界みたいなものも表現されていたと思います。映像を使ってゴンを元気づけさせることが出来たのは、探偵団の努力であり手柄ではありますが、恒久的解決にはなっていません。ゴンがまた来年もおじいちゃんを思い出してしまったら・・・そんな一抹の不安というか薄っぺらさが残ってしまうのがハイテク機器の最大の弱点とでもいえましょうか。言葉は悪いですが誤魔化すことは出来ても人間(動物)の深層部分に抱えた問題を解決することはできない、そんな印象を持ちました。ではどうすればいいのか。やはりそこには人間のまごころのこもったふれあいが必要なのでしょう。エピローグでゴンの目線で見る速水くんの姿をナギサがゴンから感じたお爺さんの姿に重ねた演出は、やっぱり最後は人間だよな、と思わせてくれました。「もうお爺さんがいなくてもゴンは大丈夫」、そんな印象を抱かせるあの1カット、正直ほろっと泣きそうになっちゃうくらいこころ打たれました。
とまあなんやかんやで今回は、ナギサの年長者としてのリーダーシップと組織のブレインことタマオの発想で問題の解決に至ることが出来ましたが、次回からはどうなってくるでしょう。同じような話の組み立てになることは仕方がありませんが、極端にフォーマットされたストーリーは本作のキャラには似つかわしくない気がしますので、ヴァリエーションに期待したいですね。
あっとそうそう、そういえば影の、いや闇の、いえ黒の功労者カノンちゃんのことを忘れていました。打算的で自分が認めたもの(人・動物)以外には攻撃的だったカノンが、今回はじめて善良な行動をとったのではないでしょうか笑 そういえばリコムたちメインキャラのほうは動物の気持ちを理解したいという態度で臨んでいるのに対し、カノンのほうは自分の命令をきかせたいという正反対の態度をとっていますね。高圧的ながらも成果を出せばしっかり褒めてくれるカノンちゃんもまた魅力的です。
脚本は土屋理敬氏、絵コンテもりたけし氏、演出斉藤啓也氏+、原画等JM制作でした。
次回は「消えたグレースを探し出せ!?」です。
あにゃまる探偵キルミンずぅOP&ED主題歌「Poo/Chuai Mad Noi」
- アーティスト: Neko Jump,ゲーッシリラック・ニッタヤスット,あさのまさひこ,ラウィ・ガンサナーラック
- 出版社/メーカー: キングレコード
- 発売日: 2009/12/23
- メディア: CD